- 作者: 夏目漱石
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 1987/07
- メディア: 文庫
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ナンセンスとは何か、ということに対する、編者の考えが、この本をどう読み解くかということにつながる。
だから、自分の中のナンセンスと同じ意味をこの本に期待してはいけない。
夏目漱石、森鴎外、泉鏡花、芥川龍之介、内田百けん、萩原朔太郎、坂口安吾、石川淳、中島敦と、近代文学の「文豪」たちが名を連ねている。
つまり、「純文学」という枠組みを規定している意識だとか主題といったものを物差しとした場合に、そこに収まりきらない価値観を持つ小説たちであると考えたほうが良い。
一方でそこにあるのは、「近代文学」という文学史の枠組みの中で語ることの出来る物語のヴァリエーションであるとも言える。
物語とは何かを考える上で、小説とはそのひとつの手段であるだろう。
物語という空間を構築するための小説という方法論があり、その素材としての言語がある。
この本に集められている作品のうちのいくつかは、素材としての言語が言語遊びに横ずれしながら小説という方法論の一部となって、あたかもウロボロス的な構造となっているものもあるのだ。
編者の意図とは離れたところから、この本の限界と読みが生まれそうだ。