雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

黒いユーモア選集〈2〉/アンドレ・ブルトン


逸脱と回収

黒いユーモア選集〈2〉 (河出文庫)

黒いユーモア選集〈2〉 (河出文庫)


そして、「ユーモア」とは何であるか?
「黒い」とはどういうことか?
いよいよ、ジャリ、ルーセルアポリネール、ピカビア、デュシャンなどが登場する。
確かにこうして集められた作品たちは、ある種の笑いを意図している。
腹の底から笑うような笑いではない。
ニヤリとさせたい、そんな笑いのようだ。
本質的に笑いとは逸脱と回収ではないだろうか?
現実からのジャンプであり、話の流れからのジャンプであり、そして元の場所へ帰ってくる。
それまで認められてこなかった価値観への逸脱、そしてそれは回収によって収束する。
笑いによって現実からの逸脱を、そしてそれは世間合意的に認められている価値観からの逸脱でもある点において、黒いユーモアとして位置づけられ、その現実からの逸脱という行為そのものがシュルレアリスムであり、意識的にその位置を知っているのがこの本なのではないだろうか?


持っているのは、ハードカバー

何が違う?