雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

中国怪談集


中国怪談集 (河出文庫)

中国怪談集 (河出文庫)


これは奇書というべきだろう。
この本の編者たちは、「物語の最も卓越した語り手は国家である」という認識に至った、という。
それだけでもこの「怪談集」が非凡であることは、想像するに難くないであろう。
怪談とは何か?
「怖い」という価値観の押し付けと、その価値観からの疎外に違和感を覚えた、と編者の一人である武田雅哉は、あとがきで記している。
いわば「怪談」は前提付きの物語であり、前提が成り立たない所には、物語は成立しにくい構造のようだ。
一方、中国文学には「聊齋志異」に代表される奇譚、怪異譚の系譜はある、という。
だがそれよりも、「最も卓越した語り手」の語る物語は怖ろしいであろう。
そして、様々な文献に登場する人肉話は、どういった集合無意識の表出であろうか?
全く判らないということの怖さ、想像よりも現実のほうが怖ろしいのかもしれないと思ってしまった怖さ、そんなことを考えた。