深く暗い領域
日本魔界案内―とびきりの「聖地・異界」を巡る (知恵の森文庫)
- 作者: 小松和彦
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2002/07
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (4件) を見る
タイトルにつられると肩透かしを食う本かもしれない。
神話や伝承に登場する土地をめぐり、それらの背景にある共同体の無意識的な部分を探るような本だといえよう。
鬼や悪霊、魔界といった表徴は共同体の外部性を示しており、それらの外部に対する、奉ることや祟ること、ひいては祭礼といった共同体の儀式へとつながっているのだ。
だから祭礼に籠められている外部性に対する反応について言及することは、その共同体や土地の起源にまで遡及することにもつながるのだ。
それぞれの寺社へのアクセス方法まで記載されて、ガイドブック風に仕立て上げられている。
しかしこの本に籠められているものは、深く暗い領域のようだ。