雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

日本魔界案内―とびきりの「聖地・異界」を巡る/小松和彦


深く暗い領域


タイトルにつられると肩透かしを食う本かもしれない。
神話や伝承に登場する土地をめぐり、それらの背景にある共同体の無意識的な部分を探るような本だといえよう。
鬼や悪霊、魔界といった表徴は共同体の外部性を示しており、それらの外部に対する、奉ることや祟ること、ひいては祭礼といった共同体の儀式へとつながっているのだ。
だから祭礼に籠められている外部性に対する反応について言及することは、その共同体や土地の起源にまで遡及することにもつながるのだ。
それぞれの寺社へのアクセス方法まで記載されて、ガイドブック風に仕立て上げられている。
しかしこの本に籠められているものは、深く暗い領域のようだ。