雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

クラウド・コンピューティング/西田宗千佳


ノルカソルカ

クラウド・コンピューティング ウェブ2.0の先にくるもの (朝日新書)

クラウド・コンピューティング ウェブ2.0の先にくるもの (朝日新書)


クラウド・コンピューティングというキーワードに対して、手際良く概要をまとめていると言えよう。
その商品(「クラウド」は「サービス」であるという著者のまとめもあるが敢えて)の価値は、そのモノの価値もあるが、イメージ戦略もある。
ましてや物質的な実体を伴わないことの多いIT業界においては、幾分、キーワード先行、イメージ先行での価値創造もあると思う。
「PCを買ってどうするの?」という問いを前提に、「新しいPCはこんなこともできます、あんなこともできます」というソフトの充実で価値を作り出していた戦略はそろそろ違うのではないか、と考え始めている人々がいる、と捉えるべきかもしれない。
インターネットという情報空間が、ある特権的な環境では無くなり、いつでもどこでもどんな端末でも情報を取り出すことができるようになろうとしているようだ。
情報が取り出せることの価値よりも、情報そのものの価値がたぶん問われていくような気がする。
従来のメディアによる、企業独自の価値観のフィルターで情報が流される状態から、更に細分化した個人レベルの価値観のフィルターで情報が流され、その量が大量になるのだろう。
だが、気をつけなければいけないのは、真実探しの魔力に囚われないことかもしれない。
その眼で見たものが真実かもしれないし、そうではないかもしれないように、ある人のフィルターだけが真実かもしれないし、違うかもしれない。
Web2.0クラウド・コンピューティングが、業界だけにとどまらない大転換をもたらすかの様に情報が飛び交うだろうし、既に意図してその方向へ動かそうとしたいかのような意見も無いとは言えないだろう。
過去にだって、様々な意図で情報についての情報が垂れ流されたし、それでビジネスが成り立っている人だっているのだろう。
乗るか反るか、しばらく見守ってみた方がいいのかもしれない。
IT博とまでは言わないが、そんなことにならないとも言い切れない。