家とか父親とか
- 作者: 講談社文芸文庫
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/03/04
- メディア: 文庫
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短編小説というジャンルに、日本文学「らしさ」がある、という視点に基づいて、様々な作家の作品を集めたアンソロジーである。
その切り口自体は編者たちの考えに基づくため、全て揃えて観るという考え方もあるだろう。
一方で、その切り口はともかく、集められた作品の味わいだけに妙味を見出すこともあるだろう。
どちらかというと後者の興味で、この巻だけ買った。
いわゆる奇譚モノ、前衛モノ寄りのコレクションと言えるかもしれない。
現在における前衛とは何か?既に死語じゃないのか、という議論を踏まえて、「表現の冒険」というキャッチコピーはどうなのか?という気がしないでもない。
だが、内田百けんや笙野頼子、安部公房、半村良、稲垣足穂といった作家が集められているのは、やはりちょっとくすぐられる。
解説でも語られるように通底しているのは、「家」という概念の解体とも読めるが、編者の意図しないところで「父性」が通底しているような気がする。
それが、変化しないとかしてきたとか、そういう次元ではなく、「父性」という足がかりに語られる物語、つまり前提としての父性の強さのようなものが、そこにあったのではないだろうか?