ステレオタイプあるいは放言の速度

- 作者: 谷崎潤一郎
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1995/09/18
- メディア: 文庫
- 購入: 26人 クリック: 180回
- この商品を含むブログ (222件) を見る
初めて読んだのは、高校の現国の授業だったろうか?
改めて読んでみたが、この文章は昭和初期であったことにまず驚いた。
昭和初期は現代国語の範疇なのか?という疑問が今更に思う。
そして、この本で礼賛される日本的なるモノは、ほとんど根拠もない、谷崎の印象と独断の、
しかも言わば、ステレオタイプ的な日本的なるモノに思えた。
途中で読むのを止めようかと思ったくらい、放言も甚だしい。
だが、それが逆に谷崎らしいのでは?、とも思えた。
じっくり文章を味わうのではなく、さっさと読み飛ばしていくうちに、何か書かれていることが、何かを語っているような気がしてくる。
つまり、闇に沈む色彩の美が云々、という内容そのものよりも、それと同じレベルで、恋愛がどうとか、旅先の旅館を明らかにしたいだのしたくないだの、便所が清潔かどうかだの、そういった独断を書き飛ばしていく谷崎のありようが、ちょっと面白いのだった。
読み返しはしないだろうけど。