酒は嫌いじゃない。
というか、むしろ好きだ。
と思っていた。
家でも酒を常備し、何となく呑んでいる日もあった。
だが、歳を重ねるにつれて、呑みに行く友達も減り、自由に使える金も減り、いつしか、会社の呑み会でしか酒を呑んでいないことに気づいた。
酒が好きなんだったら、独りでも呑みに行きたいのじゃないのか、と思う。
だが、独りで酒を呑みに行くのは何となく気が引ける。
出張先では独りで寿司屋にも入れるのに、呑み屋は何かが違う。
本当は酒が好きなんじゃなくて、友達と呑みに行くのが好きなのかとも思う。
だが、呑みに行くために友達を呼び出すのも何か気が引けてしまう。
結局、本を読むことほどには、酒が好きではないのではないか。
だがそうとも言い切れない。
ちょっと独りで呑みに行くことへの憧れが在る。
子供の頃に想像した大人は、行きつけの呑み屋が一軒や二軒あって、たまにはそんな場所で寛いでみたいと思っていた。
サザエさんの波平さんだって、行きつけのおでん屋がある。
独りで呑むとはどういうことか。
それは、独りで喫茶店に入るのと同じだと誰かが言っていたっけ。
何だか自分自身で敷居を高くしてしまっていたのかもしれない。
気になるラーメン屋にふらっと入るように、呑み屋の暖簾をくぐり、バーのドアを開けてみてもいいのだろう。
この本であまた紹介される呑み屋の話を読んでいくうちに、そんな気持ちになった。
今週辺りは気になる店のドアを開けてみようか。
- 作者: 浜田信郎
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/05
- メディア: 文庫
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