雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

サンカの真実 三角寛の虚構/筒井功


サンカとは何者か、三角寛とは一体誰か、それらについて何らか知らなければ、この本を読もうとは思わないだろう。
サンカとはどんな人々だったのか、という点については、あまり明らかになってはいないのが現状のようだ。
だが、そういった人々について、判りやすいイメージを与え、むしろ、世間の求めるイメージを満足させるような姿を与えてしまったのが、三角寛という人物だったようだ。
この本の著者である筒井氏は、三角寛によって流布されているのが、虚構であり、事実ではないと主張する。
つまり、三角寛によるサンカ研究は「トンデモ本」であり、それを丹念に(時には呆れながら)指摘している本である。
そういった意味で、この本を手に取って、三角寛を知ることは出来ても、サンカを知ることは難しいだろう。
だが、三角寛の虚構が世間に受け入れられてしまった、という点にも、実は注目が必要ではないだろうか。
そこには、差別/被差別の心象があるだろう。
ひとつには、イメージを受け入れる世間の側にあり、もうひとつはイメージを作り出した三角寛の側にある。
この本には書かれない、その心象が気になった。


サンカの真実 三角寛の虚構 (文春新書)

サンカの真実 三角寛の虚構 (文春新書)