雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

紋切型辞典/ギュスターヴ・フローベール

この本の存在を知ったのは、蓮實重彦の「物語批判序説」だったろうか。
もうその本も処分してしまい、基よりフローベールも読んだことなく、忘れていたのだけれど、ふと本屋でこの本を見かけて思い出した。
とは言え買う気はしないので、図書館で借りることにした。
この本は、こう言っとけばひとかどの人物に見られる、「紋切型」を集めた、という体裁だ。
そんな本が面白いのかというと、面白くないし、退屈ですらない。
書かれていることを肯定すれば、紋切型に満足する側の人間であり、否定をすればひとかどの人物には見られないということだ。
二重の罠がここには仕掛けられている。
その上、「すっごい面白い話なんだけどさ」と話し始めた話は、いまひとつ面白くない原理で、フローベールが「な?面白いだろ、俺って」という書きっぷりがどうにも鼻につく。
あとがきで知ったのだけれど、この本は「プヴァールとペキュシェ」の第二部として構想されていたらしい。


紋切型辞典 (岩波文庫)

紋切型辞典 (岩波文庫)

読んだのは岩波文庫版。


紋切型辞典 (平凡社ライブラリー (268))

紋切型辞典 (平凡社ライブラリー (268))

平凡ライブラリ版もあるらしい。