雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

幻影の書/ポール・オースター

どうやら半年前に出ていたようなのだけれど、見逃していたのだろうか。
久しぶりに、ポール・オースターを読んでみる。
敢えてつまらなく言うなら、人生のどん底を彷徨うことになった主人公が、運命的な女性と出会い、救われもするのだけれど、その女性を失ってしまう、という物語だ。
これは、学者である主人公の物語でもありながら、彼に運命的に出会ってしまう彼女の物語でもあり、その彼女が本を書こうとしている忘れられた俳優の物語でもある。
そしてその俳優については、主人公が嘗て本を書いたことがあり、だからこそ物語が展開する。
複数の物語が重層的に組み込まれ、登場人物たちの痛みや哀しみが響きあう。
そして、ある種のミステリーとしても読めるかもしれない。
ポール・オースターの物語は、今回も読み終えるのが惜しいと思った。


幻影の書 (新潮文庫)

幻影の書 (新潮文庫)