雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

ヨーロッパの乳房/澁澤龍彦

澁澤龍彦の本は処分してしまうのだけれど、この一冊が気になったので、ちょっと読んでみた。
その人にとっての旅が何であるか、その問いもまたその人をよく表す一面なのではないかと思う。
澁澤龍彦にとっての旅とは、再確認であるかのようだ。
恐らく旅行中にメモだけ残し、帰国後に書かれたであろう、この本に収められている紀行文は、博覧強記なその知識をなぞっていくかのように書かれている。
まるで、書斎から無限に広がってゆく想像力こそが旅の第一義であり、肉体の移動を伴う旅は副次的なものに過ぎないかのようだ。
とは言え、文章のトーンが、僅かに浮かれているようにも感じた。


ヨーロッパの乳房 (河出文庫)

ヨーロッパの乳房 (河出文庫)