澁澤龍彦の本は処分してしまうのだけれど、この一冊が気になったので、ちょっと読んでみた。
その人にとっての旅が何であるか、その問いもまたその人をよく表す一面なのではないかと思う。
澁澤龍彦にとっての旅とは、再確認であるかのようだ。
恐らく旅行中にメモだけ残し、帰国後に書かれたであろう、この本に収められている紀行文は、博覧強記なその知識をなぞっていくかのように書かれている。
まるで、書斎から無限に広がってゆく想像力こそが旅の第一義であり、肉体の移動を伴う旅は副次的なものに過ぎないかのようだ。
とは言え、文章のトーンが、僅かに浮かれているようにも感じた。
- 作者: 渋澤龍彦
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 1987/10
- メディア: 文庫
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