雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

溺レる/川上弘美

川上弘美氏の本を読むのは、これで二冊目である。
ハマってしまったと言うべきかもしれない。
この本は、恋愛小説の短編集だと思った。
だが、そう思ったとたんに、そう言い切る自信がなくなってきた。
男と女が登場して、主人公の女性が相手の男性とどうにかなりたいと思っているが、それは恋愛小説と言って良いものだろうか。
あるいはポルノ小説のように交わる主人公達が登場するが、そこで女性が「アイシテルンデス」と言ってしまうことが妙だと感じているのは、果たして恋愛小説なのだろうか。
だが、きっとこれは自分には理解できない「女性的なるもの」が、そこにはあるような気がする。
判っているのかいないのかと言えば、判っていないのだろうけれど、女性が思うことの何かを著している恋愛小説なのではないかと思う。
つまりそれは、川上弘美という作家の描く小説の女性に、心を奪われていることに他ならないのではないか。

溺レる (文春文庫)

溺レる (文春文庫)