マンディアルグについて何か書こうとしても、特に思い当たらない。
そもそも、マンディアルグの小説が、シュルレアリスムであるのかどうか、判断に迷うところがある。
この本は最晩年の短篇集だ。
それぞれの作品に籠められた暗喩を解説しても、それは作品を読んだことにはならない気がする。
むしろ、奇妙なイメージを味わうことの方が、マンディアルグの作品を読んだことになるのではないかと思う。
例えば、「薔薇の葬儀」における建物の構造であったり、「クラッシュフー号」における黒いオープンカーと赤毛の男の敵意であったり、「ムーヴィング・ウォーク」における直取引と剃毛であったり。
この本に目新しさは無い。
いつもながらの、マンディアルグの小説世界があるだけだろう。
だが、それは唯一無比であることには変わりは無い。
あまり好みではないなと思いながらも、たまについ読んでしまうのはそういった理由からなのだ。
持っているのは、ハードカバー。
uブックスでも出ているようだ。