西東三鬼は昭和初期の俳人である。
と言っても良く知らない。
なぜこの本に辿り着いたのかも覚えていない。
そもそも俳句だって語れるほどに知らないのだけれど、西東三鬼の句はモダニズムだと思った。
この場合のモダニズムとは、内容に先行するスタイルがあるということを指している。
読み通したことがあるのかも覚えていないのだけれど、今回読み返してみて、句にも増して、散文の「神戸」「続神戸」が素晴らしかった。
「神戸」は西東三鬼が東京を逃れ、戦時下の神戸の、トーアロードのホテルで過ごした日々、「続神戸」は焼け出され、戦後の山の手で過ごした日々とそこで出会った人々を回想している。
どことなく、金子光晴の自伝にも似ている。
無国籍な人々と娼婦たちと進駐軍が、エキゾチックで、どうしようもなくて、切ない感じがする。
ちょっと自分を美化していないかとも思うのだが、まあ許せる範囲だろうか。
映画化するとしたら、鈴木清順監督が思い浮かんだ。
ちょっとググってみると、小林桂樹主演、早坂暁脚本で、NHKテレビでドラマ化もされたらしい。
ちょっとそれはイメージが違うと思う。
- 作者: 西東三鬼,鈴木六林男
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 1984/01
- メディア: 文庫
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