雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

マルジナリア/澁澤龍彦

マルジナリアとは、本の余白への書き込み、傍注といったことらしい。
気の向くままに綴られたエッセイは特に統一感も無く、思いついたことを書いている風だ。
とはいえ、古今東西の話題に飛ぶのは、いかにも澁澤らしい。
しかし、河出文庫の手帖三部作のような気負った感じがせず、軽やかなのは何だか清々しくもある。
時にはフーコーの「性の歴史」に言及したり、大岡昇平の話の中にドゥルーズ=ガタリがさり気なく登場するあたりは、その博覧強記がただの趣味性とも思えないような気がする。
マルキ・ド・サドの翻訳者、幻想文学の文脈といった文脈で、過去の文学者として澁澤龍彦を読み解くだけでなく、松岡正剛の用語で言うなら、その「編集」の面から触れてみるのも一興なのではないかと思った。
喩えて言うなら、セレクトショップにふらっと立ち寄ってみるように、澁澤龍彦の本を読む、そんな読み方もできるのではないだろうか?


マルジナリア (福武文庫)

マルジナリア (福武文庫)

持っているのは福武文庫。
家人に処分されるところだったので救出。
マルジナリア

マルジナリア

ハードカバーは見たことが無い。