マルジナリアとは、本の余白への書き込み、傍注といったことらしい。
気の向くままに綴られたエッセイは特に統一感も無く、思いついたことを書いている風だ。
とはいえ、古今東西の話題に飛ぶのは、いかにも澁澤らしい。
しかし、河出文庫の手帖三部作のような気負った感じがせず、軽やかなのは何だか清々しくもある。
時にはフーコーの「性の歴史」に言及したり、大岡昇平の話の中にドゥルーズ=ガタリがさり気なく登場するあたりは、その博覧強記がただの趣味性とも思えないような気がする。
マルキ・ド・サドの翻訳者、幻想文学の文脈といった文脈で、過去の文学者として澁澤龍彦を読み解くだけでなく、松岡正剛の用語で言うなら、その「編集」の面から触れてみるのも一興なのではないかと思った。
喩えて言うなら、セレクトショップにふらっと立ち寄ってみるように、澁澤龍彦の本を読む、そんな読み方もできるのではないだろうか?
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家人に処分されるところだったので救出。
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