雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

裸婦の中の裸婦/澁澤龍彦、巌谷國士

澁澤龍彦氏の最晩年のエッセイである。
架空の対話形式で、裸婦を扱った絵画を縦横無尽に語っている。
かつてのような、ある種の教養主義的なトーンはなりを潜め、呑み屋での雑談のように軽やかだ。
連載の途中で病に倒れたため、巌谷國士氏が引き継いでいる。
バルテュス、ルーカス・クラナッハ、ブロンツィーノ、フェリックス・ヴァロットン、ベラスケス、百武兼行、ワットー、ヘルムート・ニュートン、「眠るヘルマフロディトス」、ポール・デルヴォー四谷シモン、アングル、といかにもなラインナップだ。
その選択の「らしさ」が故に、何となく愛着が湧いてしまう。
これらの作品だけの美術館があったら、何と豪華なことだろう。
これも家人に捨てられるところを救った一冊。


裸婦の中の裸婦 (文春文庫)

裸婦の中の裸婦 (文春文庫)

持っているのは文春文庫
裸婦の中の裸婦 (河出文庫)

裸婦の中の裸婦 (河出文庫)

河出文庫にも入っているらしい何が違う?