澁澤龍彦氏の最晩年のエッセイである。
架空の対話形式で、裸婦を扱った絵画を縦横無尽に語っている。
かつてのような、ある種の教養主義的なトーンはなりを潜め、呑み屋での雑談のように軽やかだ。
連載の途中で病に倒れたため、巌谷國士氏が引き継いでいる。
バルテュス、ルーカス・クラナッハ、ブロンツィーノ、フェリックス・ヴァロットン、ベラスケス、百武兼行、ワットー、ヘルムート・ニュートン、「眠るヘルマフロディトス」、ポール・デルヴォー、四谷シモン、アングル、といかにもなラインナップだ。
その選択の「らしさ」が故に、何となく愛着が湧いてしまう。
これらの作品だけの美術館があったら、何と豪華なことだろう。
これも家人に捨てられるところを救った一冊。
- 作者: 澁澤龍彦,巌谷国士
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