古本屋で見つけた。
晩年の吉本隆明氏へのインタビューを基にまとめた本である。
思えば、吉本氏の新たな本を読むのも久しぶりだ。
およそ1990年代後半以降、吉本氏の本から意識的に遠ざかっていた。
それは、その思想の如何に関わらず、一人の思想家の言葉だけを聞いていることが、危うい気がしていたからだと思う。
その後、「老いの超え方」という本で、「老い」についてあれこれ考察しているのを読み、その視線の鋭さ、問題意識の先鋭さに感服したのだった。
どうやらこの本も、同時期のインタビューのようだ。
最初は何だかつまらない本だという気がした。
それまでの著作の中で触れていたり、改めて吉本氏が話す内容なのだろうか、と思った。
老人の繰り言のように、何とも言えないもどかしさのようなものがあった。
それでも読み進むうちに、次第に引き込まれてしまう。
そして一日で読み終えてしまった。
どうやらこれは、吉本氏の語りに引き込まれているのだろう。
簡潔に言い切る、というのが、基本的なトーンだ。
そうしてさまざまな問題に白黒つけていく。
扱う課題やその考えがどうかという以前に、その吉本氏の語り口に引き込まれている。
- 作者: 吉本隆明
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/07/15
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 16回
- この商品を含むブログ (20件) を見る