雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

ひきこもれ/吉本隆明

45年ぶりの大雪だったのだとか。
朝から雪かきで疲れたので、午後は家の中でちょっとした合間に読書。
この本は晩年の吉本隆明氏の著作である。
著作というより、インタビューをまとめたものらしい。
「ひきこもり」に対する吉本氏の考えは、二つの方向に向かっている。
引きこもっている当事者(家族も含めて)たちに対して、それが決して善悪の問題ではない、ということを語る。
むしろ、自省し内面に向き合うことで、内臓の言葉に耳を澄ますといった考えを提示し、自らを高めるには必要だという考えを語る。
また一方で、引きこもっている人たちを社会の輪の中へと連れ出すために、「善意」で協力する人々を批判している。
吉本氏は批判というほど強い言葉を使っていないが、その後に語る様々な話題を通してみると、強い批判意識があると思う。
平易な言葉で語られる転向の問題や、9.11以降のテロリズムの問題など、複雑で困難な問題に対して、良識を振りかざして語る人々に対して、「それは違うと思うなぁ」というトーンで、吉本氏は語る。
つまり、これは良いことだとか、これは正しいのだ、という前提で何かをすることが、もしかすると何かをしでかしてしまうのかもしれない、ということだろう、と受け取った。
さらりと読み流すこともできるが、吉本氏ならではの著作である。


ひきこもれ―ひとりの時間をもつということ (だいわ文庫)

ひきこもれ―ひとりの時間をもつということ (だいわ文庫)

持っているのはハードカバーだ。
ひきこもれ―ひとりの時間をもつということ

ひきこもれ―ひとりの時間をもつということ