雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

狐/永井荷風

永井荷風の初期短篇である。

幼年期の記憶を元に書かれた物語は、実に鮮やかだ。

少年の心に映る薄暗い不気味な庭、威厳があって権力の象徴のような父、白い雪の上に滴る赤い血、そして絵草子の鬼のような大人の姿。

淡々と描かれながらどの場面も印象的だ。

永井荷風の生涯を知っている今となっては、この出来事がその後の人生に影響を与えたかのように話を締めるのは、ちょっと苦笑せざるを得ない、と思うのだが、読む人それぞれなところだろう。

 

 

狐