須賀敦子氏の名前は、アントニオ・タブッキの翻訳者として覚えてはいた。
しかし、作家としての作品に手を取ることもなかったのだが、ちょっと読んでみようかと図書館で借りてみた。
実に不勉強なことなのだが、イタリア在住の後、上智大学で教鞭を執り、日本文学をイタリアに紹介されていたことを知った。
この本は、氏のイタリアでの生活を下敷きにした、家族を中心にした随筆である。
イタリアだから、家族だから、ということではなく、日本でもありそうな、その辺りにいる家族や知り合いの話が淡々と語られる。
ややもすれば平淡になりそうなだが、何故か惹きつけられるのが面白い。