雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

雀の手帖/幸田文

久しぶりに読み返してみた。

以前読んだ時も思ったけれど、幸田文の文章は昔の東京のしゃべり言葉に近い感じがする。

親の世代というより、祖父母の世代の言葉のようだ。

中盤で後の平成天皇のご成婚の話題が出てくるので、1959年に初出の文章なのだと分かる。

1月から5月の日常の事、思い出話、などとりとめもなく、おしゃべりのように語られる。

上段に構えるのではなく、そういえばね、という風に綴られるのだけれど、時折、キラッと光る刃先のような鋭い言葉が混じる。

人生の諸先輩が次々と亡くなってしまう中で、こういう言葉を紡いでくれる方はありがたい。

 

雀の手帖 (新潮文庫)

雀の手帖 (新潮文庫)

  • 作者:文, 幸田
  • 発売日: 1997/10/29
  • メディア: 文庫