久しぶりに村上龍氏のエッセイを読む。
「すべての男は消耗品である」を手に取ったのは、大学生の頃だったかと思うと、かれこれ約30年前である。
その間も村上龍氏の文章は見かけたこともあると思うが、あまり記憶に残っていない。
小説は何冊か手に取った。
そうして久しぶりに読んだエッセイは、老いを感じた。
2013年頃の若者向けの雑誌の連載だったようで、若者に対して言いたいことは無いとか、日本の社会を憂えていたりするうえに、歳を取って色んな事が面倒になったと書いている。
約60歳の頃の文章なのだが、果たしてこれは老いなのか、それとも思索の結果なのか、同年代の友達ともそんな話をしているとか出てくる。
いささか話半分で読んだ方が良い気がしなくもないが、幸福かどうかで世界を測れないという指摘は的確だと思った。
ウェルビーイングだとか、ヘルスマネージメントだとかに漂う嘘臭さと薄気味悪さを、言い表してくれたように思った。
本のタイトルにもなっている幸福よりも信頼という価値観は一聴に値すると思った。