雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

うたかたの日々/ボリス・ヴィアン

名前は知っていても、手に取らなかった本のうちの一冊である。

なぜ手に取らなかったのかは分からない。

物語としては悲劇的な恋愛譚と言っていいのだろうか。

コランとクロエ、彼らの周りに、シック、ニコラ、アリーズ、イジスの6人が物語の中心にいる。

一目惚れから結婚、そして病に倒れ、やがて死に至る、という物語は単純ながら、様々な造語やイメージが散りばめられ、まるで奇譚のようではある。

だが、それらの突拍子もないイメージは、謂わば比喩の直截な表現であり、むしろ不可解な病で死にゆく連れと財産を失っていく物語そのものの若者らしい想像力を、魅力として感じてしまう。

ではもし10代の頃の自分がこの本を手に取っていたら、今と同じように感じるだろうか、と考えたけれど、たぶんそうは感じないだろう。

年を取ったからこそ分かるものもある、そんな類の物語のような気がした。