ひと段落着いたので、通常の読書に戻る。
図書館の中でどんなジャンルを読みたいのだろうかと考えているうちにフロアの端まで来てしまう。
小説でもないし、実用書でも無いし、と思っているうちに、紀行文はどうだろうかと思った。
車谷長吉、名前は何となく聞いたことがあるけれど、実際の作品を読むのは初めてである。
この本は、四国八十八カ所のお遍路さんを行ったときのエッセイのようなのだが、徳島県のゴミ不法投棄の多さ、本人のうんこの回数(そして時々粗相)、通りすがりの人への呪詛にも似た地獄へ落ちる話など、なかなか面白い。
妙に信心に溢れた旅ではなく、地に足の着いたというのもちょっと違うが、良い意味での卑俗な感じが面白い。
お遍路さんを成し遂げたぐらいで悟り澄ましたようになったら、確かに鼻白むものになってしまうだろうし、これはこれで有りなんだと思う。
まぁ、読み手の私に信心が足りないからというのもあるだろう。