昨年だったか多田智満子の随筆「魂の形について」を再読し、そう言えばこの人の詩を読んだことあったっけ、と思い返して、あちこちの本屋を探したのだけれど、詩集はどの本屋にもほぼ見当たらない。
ましてや図書館は売れ筋の本はあっても、稀観本の類になるとなかなか難しいので、半ば諦めていた。
ふと自分の本棚を眺めたら、現代詩文庫の「多田智満子詩集」があった。
たぶん十代の終わりから二十代の頃に、澁澤龍彦経由で知ったと記憶している。
改めて読み返してみると、詩の言葉の強さみたいなものが響いてくる。
感情を突き放した場所から、映像的で、時にはユーモアを忍ばせて、詩を紡いでいる。
短歌、俳句を含め、詩とは何かの感情を乗せる言葉のように、学校では学んだような気がするけれど、多田智満子の詩の世界はそういうものではなく、言葉で組み立てられた、ある種の世界のようなもののように思えた。