雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

ポケットに名言を/寺山修司

先日、夜中に起きて寝付けなかった時に読み始めた。

古今東西の文学、映画、流行歌から言葉を拾ってきている。

あくまで1970年代の寺山修司の視線としてのチョイスであり、それが現代にそのまま当てはまるとは、必ずしも限らない。

むしろ古びてしまったもののほうが多いかもしれない。

それでもいくつかは、引っかかる言葉もあったりするけれど、だからといって金科玉条の如く、有難がるわけでもない。

たぶんその辺りの、この本が書かれた頃に想定している読み手から、今の読み手はだいぶかけ離れているだろうと思う。

端的に言えば、ショート動画や感動ポルノが溢れている中では、名言もまた、第一印象で消費されるコンテンツの一つになってしまうのだろう。

この本の書き出しで、名言のない時代は不幸だが、名言を必要とする時代はもっと不幸だ、とブレヒトの言葉をもじって寺山修司は書いているが、名言が消費される時代については、なんと言っただろうか。

あるいは、この本はさらに不幸な時代の遠い伏線だったのかもしれない、と思った。