いわゆる体内時計というものが、実は遺伝子レベルでの物質の生成と分解のサイクルや、体内の各器官の連携と調和で成り立っていて、しかも、複数のサイクルが存在しているという。
その仕組みを解明していくと、病気になりやすい、つまり器官不全が起きやすい時間、また逆に、投薬が効果的に効く時間が存在するという。
詳細は内分泌系の知識(生物?医学?)が少し必要かもしれないが、いったん本文をなぞっていくだけでも、十分面白い。
人間が複数の体内時計の調和とハーモニーで生命活動を営んでいるのであれば、そのサイクルに適応する治療が将来的に開発される可能性があるというのは、難病に苦しんでいる方たちの希望となるだろう。
また、宇宙での身体活動の分析から、若返りの可能性に言及しているのも面白い。
面白い内容であっという間に読んでしまった。
ひとつ、ちょっと、うーん、と思ったのは、そういった時間遺伝子によって生み出されるサイクルと、天体の活動と結びつけるかのような言及がある。
それが正しいとか正しくないということでも、占星術に似た神秘主義だと批判するつもりもないけれど、偶然の一致と因果論を見極める段階がひとつ抜けてしまっていると思った。
昔から言われてる、朝起きて夜は寝る、一日三食きちんと食べる、適度な運動をする、という活動の正しさが、この時間遺伝子研究で裏付けされるという点も面白かった。