前に読んだのはいつだったか覚えていない。
ふと改めて手に取るきっかけのようなものがあるとしたら、この数カ月の読書傾向から分かりにくい経路を通って導かれたのかもしれない。
筆者が20世紀末に滞在した香港、帰国した後のアパートのゴミ捨て、銭湯の常連客から死のイメージ、ファミレスから自分とは違う種類の人間といった話から現代を憂える話へと広がってゆく。
なので、人によっては小五月蝿いと感じる内容ではないだろうか。
実際、読み返してみてこんな内容だったっけ?と思った箇所がいくつもあった。
それはただ単に忘れているだけとは言えなくて、たぶん前は気にならなかったところが、歳を取って気になるようになったのだと考えている。
本の内容は変わらなくても、読み手はいつの間にか変わってしまっている。
それでも、いくつかハッとするような内容はあって、例えば小学校の先生の教科書についてのエピソードや、上品/下品に関する考察などは、時を越えて通用する鋭い考察だと思う。
ただし、同世代の読み手がそう思っているだけで、実際にこれからの世界を作る人たちが納得できるレベルになっているかは分からないし、もしかすると越えられない断層があるのでないかと疑ってもいる。
いずれ誰かと答え合わせをしてみたい気もするし、このまま知らずにいたほうが、この世代にとっては幸せなのかもしれない。
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