雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

語りの海 吉本隆明 ③言葉という思想

3巻目は「言葉という思想」という副題が付いている。

確かに言葉にまつわる講演なのだけれど、思想と言うほど大上段に構えた内容かというと、そうでもない。

むしろ思想の言葉を解説しているような感じだろうか

聖書の語られない言葉、良寛の従来の歌からはみ出していく言葉、シモーヌ・ヴェイユの労働者体験の言葉、下町に生まれ育った文学者の言葉、枕詞に関する考察、そういった切り口で考察を深めている。

時には、そうかな?と疑問に思う箇所もあったりするけれど、正しいか正しくないかではなくて、題材の切り取り方が面白いのだと思う。

だからといって、それが浅薄で表面だけの議論ということでもない。

あとがきは著者本人が書いているが、それもまた良いと思った。