3巻目は「言葉という思想」という副題が付いている。
確かに言葉にまつわる講演なのだけれど、思想と言うほど大上段に構えた内容かというと、そうでもない。
むしろ思想の言葉を解説しているような感じだろうか
聖書の語られない言葉、良寛の従来の歌からはみ出していく言葉、シモーヌ・ヴェイユの労働者体験の言葉、下町に生まれ育った文学者の言葉、枕詞に関する考察、そういった切り口で考察を深めている。
時には、そうかな?と疑問に思う箇所もあったりするけれど、正しいか正しくないかではなくて、題材の切り取り方が面白いのだと思う。
だからといって、それが浅薄で表面だけの議論ということでもない。
あとがきは著者本人が書いているが、それもまた良いと思った。
