もともとは1972年に上梓した田中角栄の著作だが、2023年に復刻したらしい。
復刻に際しては、田中眞紀子氏の言葉が巻頭に置かれている。
この本の内容についてまとめたところで、何も言ってないに等しい。
そして、この本と田中角栄を賛美したり、貶めたりすることは、それだけで何かを語ってしまうことになるから、なかなか感想も言い辛い。
当たり前の事だけれど、そうなっている内容もあれば、そうはならなかった内容もある。
けれど、これは占いの本でも、予言の本でもない。
当たったことは角栄以降の政治の世界がそうしたことであり、当たらなかったことはそうしなかったこと、なのだ。
つまり、この世界が田中角栄のビジョンに沿っているかいないかを判断することは、この本の価値の話ではないということだ。
だが、インフラ整備を推し進め、機能中核都市の構築、地方再生の結果、どこにでもイ◯ンモールが作られて、似たような町がどこまでも広がっているのはどう考えればいいのだろう。
都市の中小企業の淘汰によって産業空洞化の果てに、逆流のような人口流入と、海外資本による不動産の買い占めは、果たしてこの本の重力圏内のことなのだろうか。
たぶんこの本の、そして田中角栄を含めた70'sの世界はまだ、右肩上がりの単純成長モデルを大前提にしていて、それが尽く崩壊してしまった後の世界に、今いるのだろう。
全国を網羅する新幹線と高速道路のインフラ構想は、完成を待たずにすでに崩壊し始めている。
それは、社会インフラの維持を成立させるための、社会全体の単純成長モデルが消滅しているからなのだろう。
すでに前提が違っていることを見ないふりをして、心酔しても、批判しても、何の意味もない。
過ぎ去った夢のかけらを拾うのが、正しい接し方ではなかろうか。
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