金子光晴の名前を知ったのは、高校の国語の副読本で日本の詩人の系譜を見てたときのような記憶がある。
実際の詩を読むのはずっと後で、その前に金子光晴へのインタビューが面白いとか、自伝がいくつかあるけど食い違っているだとか、そんな話を聞いていた。
実際に著作を手に取ったのは、角川のランティエ蔵書だったと思う。
そこで、東南アジアを放浪し、パリへ辿り着くまでの紀行文に一気に引き込まれた。
さてこの本は、生前、桜井滋人に金子光晴が語った話を書き起こしたもので、昭和49年に週刊ポストに連載されていたもののようだ。
没年が翌年なので、最晩年の詩人の姿が窺える。
くだらない。
実にくだらない猥談の連続である。
反骨の詩人だとか、文学史的には語られているが、79歳のエロ爺が嬉々としてくだらない話を次から次へと繰り出してくる。
蒸し暑い熱帯の空気を閉じ込めたような紀行文も、硬質な言葉の詩や批評も、そしてこの猥談も、すべて金子光晴という詩人の姿なのだと思う。
久しぶりに「マレー蘭印紀行」でも読み返してみようかと思った。
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