雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

チャイナ・ヴィジュアル/中野美代子

確か持っていたはずと探したら、本棚の一番上の隅の方にあった。
この本は、1999年に出版された。
内容は大きく3つのブロックに分かれている。
 エキゾティシズム
 クロノス・ヴィジュアル
 スクリプト・ヴィジュアル
エキゾティシズムのブロックでは、清朝の宮廷画家・ジュゼッペ・カスティリオーネと、広大な庭園の円明園についてのエッセイが集められている。
クロノス・ヴィジュアルでは、絵画に見られる小物、建築、細工時計など。
スクリプト・ヴィジュアルでは、文字である。
教科書的な歴史読み物というよりは、それぞれの対象にこだわって、自由に語っているエッセイだろう。
どれもが面白く、興味深く読めるのだけれど、その中でも、エキゾティシズムのテーマは根底に流れているような気がした。
それは中国文化に特有なのではなく、自らの中心化と対峙する文化の受容におけるの態度なのではないだろうか。
清朝における西洋文明の取り込みは、そのまま、明治時代の西洋化する日本との相似形でありながら、受容における態度の違いがエキゾティシズムとなって表れるのではないか、と思った。
同じことは、印象派絵画におけるジャポニズムにも言えるし、ワールドミュージックと言われるジャンルの音楽についても同様だろう。