雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

2012-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ナボコフの一ダース/ウラジミール・ナボコフ

買ったのはもう何年前だったろうか。 当時読んだであろうけれど、まったく記憶が無い。 改めて読んでみると、なかなか良い短編集だと思った。 1ダースといいながら、13編の作品が収められている。 それぞれが異なった味わいで、何ともいえない味わいがある…

家族解散/糸井重里

何とも不思議な小説だ。 いまさら、糸井重里について、説明する必要も無いだろう。 だが、この小説は何だろうか。 何かが足りないのではない。 何か余分な気はする。 家族の、それぞれが抱える、秘密というにはささやかな秘密が、描かれる。 それらが白日の…

大いなる自由/ジュリアン・グラック

だいぶ前から読みかけだったので、改めて読み返してみる。 この本は各篇が数ページから成る散文詩である。 恐らく、眼に見えるものと、そのレトリックの意外性が、詩情を呼び起こすのであろう。 だが、パリの街並みにも、フランスの田園風景にも興味はない。…

藤富保男詩集

東京に雪が降った。 雪が降った夜は音がしない。 雪が音を吸収するのだという。 静かな夜には、詩が読みたくなる。 久しぶりに、藤富保男を引っ張り出した。 藤富保男を知ったのは、矢野顕子の「一分間」という曲で、その歌詞は、この本にも収められている「…

第二阿房列車/内田百けん

何となく気持ちがささくれ立っているようなので、百鬼園先生の本を読む。 この本は阿房列車シリーズの2冊目である。 目的もなく列車に乗り、観光するでもなく帰ってくる。 第一にも増して、百鬼園先生はヒマラヤ山系君と、飄々とあちこちに出かける。 ふざ…

なにもしていない/笙野頼子

たまたま、古本屋で見かけて購入した。 何となく笙野頼子の作品が読みたかったような気がしていた。 この本には、「なにもしていない」と「イセ市、ハルチ」の2編が収められている。 どちらの作品にも共通するのは、ただひたすらにモノローグが積み重ねられ…

孤独な散歩者の夢想/ジャン=ジャック・ルソー

引き続きルソーを読む。 この本は最晩年の著作らしい。 何故この本を買ったのか、もう覚えていないのだけれど、ろくに読まずに本棚に残っている。 もしかすると、江戸川乱歩の『屋根裏の散歩者』と勘違いしたのだろうか? だとすると、相当間抜けな話だ。 ル…

人間不平等起原論/ジャン=ジャック・ルソー

確か高校の倫理の授業でルソーを知ったと思うのだけれど、レシートを見ると買ったのは大学生の頃のようだ。 不平等はなぜ生まれたのかを考察しているのだけれど、何の不平等なのかはいまひとつ曖昧だ。 むしろ専制国家の非難のような論調だ。 動物的存在とし…

ポオ詩と詩論/エドガー・アラン・ポオ

創元推理文庫版のポオ全集を買ったのは、確か高校生の頃だったと記憶している。 ただし、この一冊だけは、途中であきらめた記憶があった。 この本には、全詩と三篇の評論が収録されている。 小説は怪奇や幻想といったキーワードで語られることが多いかもしれ…

O嬢の物語/ポーリーヌ・レアージュ

恐らくこの本については、ポルノ小説と説明されることが多いだろう。 以下、その内容に触れざるを得ないので、もしその手の話題を、お気に召さない方、不愉快に思われる方、苦手な方、などは、この先を読まないほうが良いでしょう。 この先から書き始めます…

堕落論/坂口安吾

例えば この世の森羅万象の全てを知ることが可能か、と考えてみる。 既に、考えるより先に、それは不可能だと思っている。 では、その森羅万象のうち、知るべき事を知るべきなのだろうか、と考えてみる。 だが、知るべき事という言い方そのものの裡に、教育…