雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

2014-02-01から1ヶ月間の記事一覧

キュレーション 知と感性を揺さぶる力/長谷川祐子

この本もまた図書館で借りた。 キュレーション(もしくは、キュレーター)という言葉を知ったのは、90年代だったろうか。 或いは、村上隆や奈良美智を知った頃、いやそれも90年代だったはずだ。 ともあれ、現代美術においてキュレーションは切っても切れない…

東京焼盡/内田百けん

この本は、内田百けんによる、昭和19年11月1日から昭和20年8月21日までの日記だ。 改めて読み返してみると、簡潔な文章ながら、とても生々しい。 東京の街の上空に、アメリカの爆撃機が飛来し、焼夷弾を落としてゆく。 あちらこちらから、爆撃音と火の手が上…

悲劇の誕生/フリードリッヒ・ニーチェ

ニーチェを読み返すのは久しぶりだ。 この本で古代ギリシアにおける、アポロ的なるものとディオニュソス的なるものの対立を論及していたと記憶していた。 読み返してみると、ギリシア悲劇における没落と喜劇への転換点をエウリーピデースに見出している。 そ…

バッカイ バッコスに憑かれた女たち/エウリーピデース

この本もまた図書館で借りた。 ポンペイ遺跡にあるディオニューソス秘儀の壁画を知ったのは、高校生ぐらいだったろうか。 真っ赤な背景に、倒れこんでいる鞭打たれる女性と、その傍らで全裸で踊る女性の場面に、何かしら官能的なものを嗅ぎ取っていたように…

英語だけできる残念な人々/宋文洲

この本もまた図書館で借りた。 宋文洲氏のサイトは時々、チェックしている。 この本はビジネスのグローバル化とは何かについての、軽めのエッセイといったところだ。 英語が話せるかどうかではなく、グローバルな仕事をするためには人間として何が必要か、と…

時間と自己/木村敏

この本を読んだのは、いつのことだったのか、もう憶えていない。 ともあれ、自分のことが気になってしようがない、10代後半の頃にちがいない。 この本は、精神医学の観点からの時間論であり、意識論であろう。 時間という存在を、もの的に捉えることから、こ…

君に友だちはいらない/瀧本哲史

上司に薦められて読んでみる。 そういう本との出会いもまたある。 この本がどういう本であるかは、説明しない。 まとめが読みたければ、数多くのレビューや、NAVERでも眺めたほうがいいだろう。 一つだけ書くとしたら、多様性についてだ。 一つの目的に向か…

ひきこもれ/吉本隆明

45年ぶりの大雪だったのだとか。 朝から雪かきで疲れたので、午後は家の中でちょっとした合間に読書。 この本は晩年の吉本隆明氏の著作である。 著作というより、インタビューをまとめたものらしい。 「ひきこもり」に対する吉本氏の考えは、二つの方向に向…

春の雪 豊饒の海・第一巻/三島由紀夫

東京に大雪が降ったことと、この本を読み終えたことは何の符牒だろうか。 いや何の符牒でもない。 久しぶりに読み返してみて、実にあざとい物語だ、と思った。 いまさら言うまでもないことだが、どうしても言いたくなるぐらいだ。 「豊饒の海」と題した連作…

箱男/安部公房

久しぶりに「箱男」を読み返してみる。 今更、荒筋なんて何の意味も無いだろう。 むしろこの物語は荒筋を語ったところで何の意味もない、と言うべきかもしれない。 いくつかのテーマがそれぞれに展開される。 まずは、見ることをめぐって書かれた物語だとい…