雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

根津権現裏/藤澤清造

西村賢太氏からの流れで藤澤清造を知る。 私小説というか、狂人をモデルにした独白体の小説、といえばいいのか。 主人公が自殺してしまった友人の話を、友人の兄に語るのが大半で、そこに主人公の独白が交じる。 友人の奇行は、ある種、ユーモラスに描かれる…

カツオが磯野家を片づける日/渡部亜矢

タイトルだけで借りてみた。 波平さんの不慮の逝去によって磯野家のゴミ屋敷問題、遺産相続問題が明らかになる、というハウツー本だった。 と言っても、ふざけているのではなく、いたって真面目である。 磯野家という家族システムのその後という設定が秀逸だ…

東京者がたり/西村賢太

引き続き、西村賢太氏を読んでみる。 江戸川区の出身で、たぶん歳は少し上、バブルや東京の西とは距離のある感じで、なんとなく近しい感じがする作家が、どんな東京を見ていたのか気になった。 取り上げられている町、語られる言葉、どちらも私小説作家らし…

苦役列車/西村賢太

初めて読んだ。 名前は知っていてもなかなか手が伸びなかったのは、私小説だからに他ならない。 私小説というサブジャンルは昔から何となく遠ざけていた。 内面の吐露という、作者のはらわたを見せられているような文章は、つい好きか嫌いかで判断してしまっ…

高円寺純情商店街/ねじめ正一

以前読んだことがある気がしていたのだけれど、実は初見かもしれない。 ねじめ正一氏を知ったのは、10代の頃だと思う。 当時は現代詩を読み漁っていたので、自然と辿り着いたと思う。 とはいえ、詩と小説は全く異なっている。 記憶の中の印象ではあるが、句…

もの思う葦/太宰治

何となく図書館で手に取ってみた。 橋本治氏からの太宰治氏、という訳でもない。 そんな駄洒落で読む本を選んでいたとしたら、それはそれでちょっと自分を見直したい。 恐らく生涯で読む太宰治の5冊目ぐらいの感じだと思う。 あまり好きではないどころか、…

そして、みんなバカになった/橋本治

この本もまた図書館で借りた。 タイトルが全て「かな」っていうのも人を食った付け方だと思うが、やはり現代史の総括&ノスタルジーが続いていて、痛々しくなってくる。 そんな中でも見るべきところがあるとしたら闘病や老いに関するところだろうと思った。 …

たとえ世界が終わっても/橋本治

橋本治氏が残した言葉にどう思っているのかを検証する。 正直なところ、この本は9割退屈だった。 現実世界や歴史に対して、実はこうなんです、要するにこうなんです、といった言説は、ただの言い換えに過ぎないし、出オチの浅薄さにも似ている。 今さらに西…

テロ以降を生きるための私たちのニューテキスト

何となく借りてみた。 9.11に関する23人の意見を編んだ本。 どういう基準で選ばれているのか分からないが、たった23人でさえ異なる意見があるのだから、恐らく数限りない意見があるに違いない。 様々な立場があって、様々な見方があると思うのだが、意見を述…

「原っぱ」という社会がほしい/橋本治

ふとした瞬間に、橋本治氏のことを思い出したので、図書館で借りてみた。 10代から20代前半までの頃に読んだが、それ以降は全く手に取らなかったので、およそ30年ぶりだろうか。 現在はどんな活動をしているのかと思ったら、2019年に逝去されていた。 今更だ…