2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧
ひどくくたびれている自分に対していったい何ができるのかを考えている。 この本は村上春樹によるアイラ島とアイルランド紀行である。 ウィスキーの蒸留所やパブを巡る姿は羨ましい。 ささやかなこの本を読むうちに、そういえば自分のための酒を飲んでいない…
この本は栗本慎一郎によるブダペスト、トランシルバニア紀行である。 1980年代初頭のハンガリー、ルーマニアなので、まだ自由化されてはいない。 建築に施されたアール・ヌーヴォー様式と諸民族の歴史を振り返りつつ、時折、自説やカール・ポラニーの言説を…
何年かぶりに読み返してみる。 「蛍」は後に、「ノルウェイの森」の一部になる。 「納屋を焼く」も何かの一部になった気もするが、定かではない。 村上春樹の本は図書館で借りれば良いのだから、さっさと処分してしまわないのか、と家人は言う。 一理あるの…
萩原恭次郎は大正から昭和初期に活躍した詩人である。 ダダイストだとか、アナーキストだとか、紹介されているが、実際のところ、詩とは何であるかといったら主義主張ではないだろうと思う。 そもそも、大正から昭和初期の前衛詩人たちを、ダダイズム、シュ…
久しぶりに読み返してみる。 この本に収められた「ひとり暮らしの弁」「私の死生観」といったエッセイを読むと、老いるのも悪くはないと思う。 飄々とした軽やかさが羨ましい。 いつ頃だったか、老人になりたいと、周囲に言いちらかしていた時期があったのを…
シオランの散文はアフォリズムとちょっと印象が異なる。 序文によれば、この本は1957年から1958年にかけて書かれ、1956年のハンガリー動乱が背景にあるらしい。 何度かソビエトに対する記述があるが、仮借なきまでに叩きのめすその様は、熾烈を極めていると…
何となく読み返してみる。 体調は戻りつつあるからだろうか。 シオランのファナティックな言葉たちが、そうかもなと思わせる。 この本に納められている全ての言葉に共感できるわけでもないし、全ての言葉を理解できているとも思わない。 それでもシオランを…
世間はお盆だが、あえてビジネス本を読んでみる。 それにしてもなんとまあ気恥ずかしいタイトルなんだろうか。 とは言え、内容はとても面白いのだ。 ウェブで要約を探して見るよりは、立ち読みでも良いから、手に取って読んでみた方が良い。 何か示唆される…
子供の頃、何度となく読み返していた物語を、改めて読み返してみる。 いまさら解説する必要も無いくらい、有名な物語なので、あらすじなどここには書かない。 ひとことだけ言うなら、ネモ船長率いるノーチラス号で世界の海を巡る冒険活劇である。 やはり面白…
植島啓司の名前を知ったのは、1980年代のニューアカブームの頃にあった雑誌の「GS le gaya scienza」ではなかったかと記憶している。 もう私の手元にも無いので確かめようもないし、そもそも雑誌自体が忘れられた存在になってしまったことだろう。 それは…
この本を読んだのは、高校生ぐらいだったろうか。 当時どう思ったのかは、もう覚えていない。 だが、こうして未だに手元に残してあるということは、やはり感銘を受けたのだと思う。 表題の通り、サドの評伝である。 澁澤龍彦はサドの何を評価しているのか。 …