語り
103歳なんて今の歳のほぼ2倍かと思うと、気が遠くなるけれど、あと50回ぐらい桜を見ると思えば不可能では無いような気もしてくる。 とは言っても、全く未知の世界だ。 篠田桃紅は海外でも名の知られた書家(プロフィールでは美術家)であり、特に説明も要ら…
続けて読んでみた。 内容については、雑多で要約するようなものでもない。 ましてや何かの役に立つようなものでもない。 だが、今の自分にとって、それがありがたいものだった。 このところ様々な事があったけれど、この本の菊地成孔の語り口を読んでたおか…
菊地成孔のラジオ番組を文字起こしした本。 読む本リストにあったけど店頭で見当たらず、図書館で借りれるだけ借りてみた。 内容はほとんど与太話だと思う。 ラジオの語りそのままなのか、語り言葉を読むというのは、実は読みにくい。 人にはそれぞれ独特の…
もしかすると、吉田健一の批評を読むのは初めてかもしれない。 批評のようなエッセイのような、グニャグニャとした文章は分かりにくいので、批評には向いてないように思った。 でもそれは、読み手側の長いサラリーマン生活の因習で、先に結論を知りたがって…
日野原重明は聖路加病院の院長などを歴任し、地下鉄サリン事件では聖路加病院を開放して救護にあたったり、105歳で天命を全うするまで医師として活躍されてて、以前通っていた人間ドックで名前を知っていた。 名前は知っていてもその著作を手にすることは無…
気になっていたので、図書館で借りてみた。 今さら説明も不要だろうが、稀代の大女優の自伝である。 凡そ自分の親と同世代、自分が名前を知ったころはパリ在住で、マリームのCMぐらいの印象だったが、その後、市川崑監督の「黒い十人の女」で再発見した。 と…
椎名誠を知ったのは、ラジオの朗読で聞いた「さらば国分寺書店のおばば」であったと思う。 その後、何冊か読んだけれど、あまりピンと来ていなかったような気がする。 その「さらば国分寺書店のおばば」を図書館で探したけれど見当たらず、せっかくだからと…
何となく借りてみたのだけど、ピンとこなかった。 読んだ記録として残しておく。 中島らもの誰に言うでもない、さようなら: It’s Only a Talkshow3 (ダ・ヴィンチブックス) 作者:中島 らも,鮫肌 文殊 KADOKAWA(メディアファクトリー) Amazon ランキング参加…
東浩紀と笠井潔の往復書簡、という形式の対談とでもいうものだろうか。 1948年生まれの笠井潔と1971年生まれの東浩紀、どちらにも欠けているものがあって、どちらにも評価すべきところはある。 読んでいる自分はと言うと、年代的には東浩紀に近いけれど、思…
アルフレッド・ジャリは19世紀末のフランスの小説家で、正確にはシュルレアリスム運動に参加していたわけではないけれど、アンドレ・ブルトンの「シュルレアリスム宣言」において ジャリはアブサント酒においてシュルレアリストである。 と語られている。 巌…
暇に任せて読み返す。 栗本慎一郎が講師、笠井潔が生徒で、経済人類学を講義する、というていのレクチャーブックシリーズの1冊である。 1985年の初版だった。 買った当時のことは覚えていないが、恐らく10代の頃に背伸びして読んだのだと思う。 人類学とは何…
暇に任せて、久しぶりに杉浦日向子を読み返す。 この本は全国の銭湯を巡り、そこで出会った人(老若男女)、銭湯内(女湯)の様子、酒や美味いもの、などが面白可笑しく語られる。 銭湯や町の歴史のようなものも少し触れられる。 ちょっとふざけ過ぎている面…
足利義満について知っていることと言えば、金閣寺を創建した室町幕府の将軍、というぐらいだった。 そんな自分でも、今谷明「室町の王権」を読んだ時は驚いた。 鎌倉幕府と大名たちが活躍する戦国時代の狭間にある室町幕府は、ちょっと地味な印象だし、南北…
サンカについてというより、三角寛とはどのような人だったのか、という点に言及している本。 いささか筆が走ってジャーナリスティック過ぎるきらいもあるけれど、三角寛のサンカ本の元ネタについて検証し、暴いていく。 非定住の職能民が独自の社会を築いて…
何となく読みたくなって手に取った。 何故読みたくなったのかは、たぶん何かしらの答えのようなものを期待していたのだと思う。 しかし、それが何の問だったのかもわからないくらい、どうでもいい話だったような気がしている。 それはともかく、この本は、中…
もともとちくまプリマリー新書に入っていた本らしい。 なので平易な言葉で、パキスタン、アフガニスタンの状況と、そこでの医療活動を自ら解説している。 こういった社会貢献活動は、自分の生活と遠いもので、そこに積極的にコミットしていない。 だからと言…
久しぶりにオシムの言葉に触れたくて、ついネットでポチッと買ってしまった。 サッカーについてなにか言えるほど知っているわけでもないし、日本代表に熱狂するほどサッカー好きなわけでもない。 だが、昔読んだ「オシムの言葉」という本だったか、が何とな…
本棚を片づけていたら出てきた一冊。 いつ買ったのかもう覚えていなかったが、挟まっていたレシートを見ると1989年に買ったらしいので35年前である。 この本は詩的な評論、と言い代えたところで何も言っていない。 言葉によって言葉たりえないもの、身体とか…
ふと、池田晶子氏の著作が読みたくなり購入。 500頁2段組みなので、1,000頁相当の大著であり、ソクラテスシリーズの全作品が入っている。 対話篇という形式は、私という存在を韜晦するのに相応しい。 ソクラテスに語らせながら、「私」という存在を巡って、…
何もしない、ということを主張する、というのはある種の皮肉めいたものだと本の始まりの方で著者も述べているが、「何もしない」ということを額面通りに、というか、自分の基準で受け取ってはいけない。 著者はアメリカのアクティビスト、ってことは活動家の…
かつて澁澤龍彦という名は、傍流の文学者の中でもビッグネームだったと思う。 澁澤龍彦の本を読んでいるというだけで、親の世代は眉をひそめ、同級生たちは「変な奴」という目で見ていたのではないかと思うし、そういった評価をあえて受けたくて手に取ろうと…
幼い頃にTVで観ていたし、結婚のニュースも引退コンサートもリアルタイムで知っていたけれど、山口百恵とはどんなアイドルだったのかを説明できるほど知らない。 当時の人気も、宇崎竜童&阿木燿子のヒット曲も知っているけれど、それは山口百恵その人を知っ…
西東三鬼の名前は、現代俳句を漁っていた頃に知り、戦前の京大俳句事件や、現代俳句の表現を知るきっかけとなった一人である。 とはいえ、朝日文庫の「現代俳句の世界9 西東三鬼集」を読みかけた程度で、深く掘ってはいなかった。 そもそも現代俳人の句集が…
吉田健一の娘さんの本があると知り読んでみた。 生前の吉田健一を知らないが、語られる姿は文士というよりは、サラリーマンのようだと思った。 もっと破天荒だったり桁外れなところがあるのが文士だという読者の勝手な想像とは異なっている。 恐らく家族の目…
「日々是怪談」を加筆訂正の上、改題した本だという。 工藤美代子氏の本はこれが初めてである。 ノンフィクションという分野にあまり食指が動いてないせいだと思う。 フィクションでない文章なんてない、と思っているから、正面切ってノンフィクションと言わ…
気になってた吉田健一のエッセイ集を読んだ。 恐らく様々なところに発表された、ちょっとしたエッセイを再構成したもののようで、同じタイトルのエッセイが並んでいたりする。 それはともかく、人生処方とは何だろう、人生訓みたいなものだろうかと想像して…
この本もまた図書館で借りた。 高橋幸宏氏、坂本龍一氏の逝去に伴って、村井邦彦氏の動画やYMO結成秘話的なエピソードが溢れたように思う。 そんな中で、川添象郎氏の名前を知り、この本を知った。 川添象郎氏のエピソードについては、Wikipediaを始め様々に…
どこでどう知ったのか覚えていないが、小説家の山本文緒氏の闘病記を図書館で借りた。 膵臓癌で余命4か月と宣告されて日記が始まる。 綴られる言葉は、苦痛の訴えや悲しみだけではなく、周りの人々への感謝が多い。 病によって生活が一変してしまう中で、緩…
久しぶりに読み返してみる。 晩年の吉本隆明の日本近現代詩の解説である。 口述筆記のおかげか、平明で分かりやすい言葉が選ばれていると思った。 必ずしも年代順に系統立てて紹介しているわけではないが、話の流れのようなものはある。 現代の(とは言って…
怪談というのは、聞いている人の感情に訴えかける、古来のエンターテインメントであり、語りの力が影響するものだろう。 百物語とは怪談を持ち寄り、一話話す毎に蝋燭を一本づゝ消していき、やがて百本目が消えたとき怪異が出現する、という。 都内某所と伏…