雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

2014-10-01から1ヶ月間の記事一覧

北越雪譜/鈴木牧之

前から気になっていたので、図書館で借りてみた。 この本は江戸時代の新潟県塩沢の商人による随筆である。 雪国特有の風物や、塩沢に伝わる伝承などを紹介している。 本当に雑多な話なのだが、ガス田の話と雪男の話が記憶に残った。 他は、やはり雪に関する…

月夜の魚/吉村昭

この本もまた図書館で借りた。 月と夜と魚とは、何と完璧なタイトルだろう。 この本は、死にまつわる短編集である。 そして、吉村昭の本は初めて読んだ。 どの短編も、どうにもやりきれなさが残る。 こんな風に死を描かれると、何か忘れていたものを思い出し…

声の狩人/開高健

図書館で眼に留まった。 ぱらぱら捲ると、アイヒマン裁判の傍聴記が入っていたので借りてみた。 この本は、アイヒマン裁判中のイスラエル、核実験後のモスクワ、そして東ベルリンから西ベルリンへの移動、アルジェリア紛争中のパリ、そしてサルトルとの対談…

TOKYO NOBODY/中野正貴

いつも見ていない本棚の端にあったので、引っ張り出して眺める。 誰も写っていない東京の街の写真集。 銀座、渋谷、新宿、池袋、青山、お台場、芝浦、どこにも人がいない。 普段は人が溢れかえっている繁華街に、人がいないということの違和感。 たぶんそれ…

41歳からの哲学/池田晶子

誤解を恐れず言えば、なんて変わった人なんだろうと思った。 別に奇矯なのではないが、当たり前のことを大声で言い立てるような奇妙さだ。 時事ネタを取り上げてあれこれ言うのだが、ものすごく真っ当なことしか語っていない。 真っ当なのだが、それを大事で…

リトル・ピープルの時代/宇野常寛

久しぶりに読み応えのある評論だと思った。 読み応えがあるからといって、それは難解だということではない。 むしろ、すらすらと読めるのだ。 東日本大震災での日常と非日常という話から始まり、村上春樹の評論、「ビッグ・ブラザー」の自壊から「リトル・ピ…

転がる香港に苔は生えない/星野博美

香港が騒がしい。 民主化要求デモが衝突騒動にまで発展している。 そんなニュースを聞いて、この本をもう一度読み返してみようと思った。 この本は、中国返還前後の星野博美によるルポルタージュだ。 とはいえ、政治的な意図があるのではなく、自分の皮膚で…

大正野郎/山田芳裕

山田芳裕といえば、「へうげもの」なのだろうが、私はこのデビュー作ぐらいしか読んでいない。 芥川龍之介に憧れる平徹と、浅草の下宿先の娘さんの由貴ちゃんとのラブコメ、という線は、どうも後から取って付けたように思えてならない。 どちらかというと、…