雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

2023-01-01から1年間の記事一覧

Chatter頭の中のひとりごとをコントロールし、最良の行動を導くための26の方法/イーサン・クロス

かなり前に誰かのおすすめされたので、図書館で借りてみたのだけれど、かなり評判になっている本らしく、半年以上待って借りることができた。 自己対話の話し相手であるChatterをどう飼い慣らしていくのか、というハウツー本である。 確かに、自分の外にいる…

一汁一菜でよいという提案/土井善晴

料理本というよりは、料理文化の本のようだと思った。 例えば美味しいものを食べた、という話ではなく、この美味しい料理は素材の美味しい時期を知っている先人の知恵が云々、といったニュアンスで伝わるだろうか。 それが面白い時もあるが、何となく冷めた…

小泉八雲作品集

こういった作品集は年代で編まれていないので、何だか読みづらい気がするのだけれど、手軽に読めるのだからそう文句を言うものでもない。 小泉八雲の主だった作品を集めている。 が、紙の本で読んだ「日本の面影」などが入っていないのは残念だ。 もしかする…

キス・キス/ロアルド・ダール

ロアルド・ダールの第3短篇集である。 気味の悪いオチが付いたり、オチを付けずに仄めかして終わる話もあったり、SFめいた発想の話や、黒い笑いの話もある。 短い話だからこそテイストの違いが際立っていると思った。 通勤途中で読んだが、本当はお茶やコー…

ワークマンは商品を変えずに売り方を変えただけでなぜ2倍売れたのか/酒井大輔

これはワークマンのファンブックである。 そして成功の物語であり、ファンタジーである。 ファンタジーであるというのは、何も作り話だと言っているのではなく、美しい部分だけを切り出した物語だということである。 だが、言葉の端々にファンタジーでない、…

江戸狛犬図鑑/荒勝俊

気になったので借りてみた。 都内を中心に関東近郊も含め、各神社の狛犬の写真集である。 江戸初期から現代までを、大きく4つに分けて分類し、その特徴を解説している。 もともと作者という概念が無く、製作された地方の特徴が出ている江戸時代の狛犬の方が…

陰翳礼讃/谷崎潤一郎

もう何年前に読んだのか覚えていない。 高校の副読本に載っていたのは覚えている。 時折、表題の「陰翳礼讃」が引用されたり、引き合いに出されたりするのを見聞きするが、実際に読んでみるとどうなのかと思って読み返してみた。 高校生の頭ではピンと来なか…

マルジナリア/澁澤龍彦

かつて澁澤龍彦という名は、傍流の文学者の中でもビッグネームだったと思う。 澁澤龍彦の本を読んでいるというだけで、親の世代は眉をひそめ、同級生たちは「変な奴」という目で見ていたのではないかと思うし、そういった評価をあえて受けたくて手に取ろうと…

蒼い時/山口百恵

幼い頃にTVで観ていたし、結婚のニュースも引退コンサートもリアルタイムで知っていたけれど、山口百恵とはどんなアイドルだったのかを説明できるほど知らない。 当時の人気も、宇崎竜童&阿木燿子のヒット曲も知っているけれど、それは山口百恵その人を知っ…

都会の鳥の生態学/唐沢孝一

都市における野鳥の生態を観察レポートしている。 普段何気なく目にする燕、雀、烏といった鳥がこの本での主役である。 巣作り、食餌、そして鳥同士の覇権争いと、長年の観察から得られた生態が語られる。 特に違う種類の鳥同士が、共通の敵を攻撃したりする…

図解ドラッカー入門/森岡謙

1時間でわかるとあるが、確かに1時間ちょっとで読み終わったと思う。 これも知り合いが不要になったので、とりあえず読んでみた。 ドラッカーについてなにかを語るほど、ビジネスというものに興味はない、というのを再認識した。 ビジネスと言われる人間の活…

トヨタで学んだ「紙1枚」にまとめる技術〔超実践編〕/浅田すぐる

知り合いが要らないというので、引き取って読んでみた。 こういうビジネス書の感想に意味は無いし、一時期流行ったまとめなんて、読んだ気にさせるだけであって、百害あって一利なし、なんじゃないかと思うのだけど、そんな意見を自分の周りでは聞かないので…

55歳からやりたいことを全部やる!時間術/臼井由妃

この本もまた図書館で借りた。 このところ年齢で目を引く本が増えたなと思う。 そしてまたその戦略に引っかかって読んでみた。 内容はいわゆる高齢者としての時間の考え方のTipsといったものだろう。 実用的であり、今すぐ使えるアイデアだと思う。 実はその…

エジプトの空の下/飯山陽

引き続き、飯山陽氏の本を読む。 著者がエジプト滞在中の体験と、ムバラク体制の崩壊、モルシ体制の崩壊、という2つの革命を通じて、エジプトのイスラム教の姿を描いている。 平易な文章と、日常生活が中心の随筆なのだけれど、扱われているテーマは重い。 …

中東問題再考/飯山陽

知り合いから勧められていても、何となく読もうという気になれなかったのだけれど、今回のイスラエル紛争で読んでみようかという気になった。 著者について、ここで解説しなくても良いだろう。 この本は、イスラム社会で起きている問題の概観を解説した本だ…

あなたに似た人/ロアルド・ダール

ふと、衝動買いをした一冊。 ミステリーというか、ショートショートというか、奇妙な味の短編と言われてたらしい。 なるほど、話のオチがちょっと薄気味悪かったり、どんでん返しだったりする。 ふと思ったのだけれど、阿刀田高に似ているのかもしれない。 …

浮世女房洒落日記/木内昇

神田の小間物屋の女将さんの日記を、大正時代の無名の作家が現代語訳した本が、自宅の屋根裏で見つかった、という物語。 額縁小説の体で、江戸の町民の1年間の生活が描かれる。 日常が描かれるから、特段のドラマチックな展開があるわけではない。 どちらか…

過剰可視化社会/與那覇潤

どこでお勧めされたか覚えていない。 著者の與那覇潤氏についても良く知らないが、なるほどなと思うところの多い本ではあった。 コロナ禍に見舞われた日本社会を観察している。 社会学だろうか、評論家風な言説だと思っていたら、本人が評論家としての最初の…

まとまらない人/坂口恭平

坂口恭平氏の本を初めて読んだ。 何というか、自己肯定感の強い人だと思った。 躁鬱状態にあるらしいので、一概に、というか、人となりとしてそう言い切るのは異なるかもしれない。 もう少し正確に言うなら、自己肯定感に溢れている本だと思った。 坂口恭平…

新記号論/石田英敬、東浩紀

どこでおすすめされたか忘れたけれど、図書館で借りて読んでみた。 石田英敬氏は東大の教授らしい。 東浩紀氏は90年代からたまに読んでいる思想家、論客である。 タイトルの通り、記号論の刷新であり、今までの記号論が前提としていたアナログメディアからの…

ふるさとの手帖/かつお

だいぶ前に買ったのだけれど、一気に読んでしまうのがもったいなくて、ちびちびと読んでいた。 けれど読書というのは、ある程度、まとまった時間をかけないと読んだ気にもならなくて、たかだか数ページ読んで閉じてを繰り返していても、感想も何も生まれない…

明るい部屋/ロラン・バルト

久しぶりにロラン・バルトを読み返してみる。 この本は写真を巡る考察でありながら、彼の母親の思い出、そして家族の歴史に遡る本でもある。 ストゥディウムとプンクトゥムという概念から写真の意味を定義する。 写真が表しているコードがストゥディウム、そ…

神戸・続神戸/西東三鬼

西東三鬼の名前は、現代俳句を漁っていた頃に知り、戦前の京大俳句事件や、現代俳句の表現を知るきっかけとなった一人である。 とはいえ、朝日文庫の「現代俳句の世界9 西東三鬼集」を読みかけた程度で、深く掘ってはいなかった。 そもそも現代俳人の句集が…

電柱鳥類学/三上修

電線に留まる鳥に着目した本、というか、鳥が留まる電線、電柱に関する本、のような気がした。 どこで見かけたのか分からないが、ちょっと気になるタイトルだったので借りてみた。 面白いと思うのだけれど、話が散漫になってしまっているような気がした。 電…

父 吉田健一/吉田暁子

吉田健一の娘さんの本があると知り読んでみた。 生前の吉田健一を知らないが、語られる姿は文士というよりは、サラリーマンのようだと思った。 もっと破天荒だったり桁外れなところがあるのが文士だという読者の勝手な想像とは異なっている。 恐らく家族の目…

ジャズソングブック/五味太郎

ふと、五味太郎氏のエッセイはないかと、図書館の蔵書検索で見つけた本。 何も確認せずに予約したら、受け取りの時に想定外の大きさで笑いそうになった。 内容はジャズのスタンダードの歌詞の対訳と、曲にインスパイアされた絵である。 歌詞の情景のようでも…

なぜノンフィクション作家はお化けが視えるのか/工藤美代子

「日々是怪談」を加筆訂正の上、改題した本だという。 工藤美代子氏の本はこれが初めてである。 ノンフィクションという分野にあまり食指が動いてないせいだと思う。 フィクションでない文章なんてない、と思っているから、正面切ってノンフィクションと言わ…

ほら吹き男爵の冒険/ゴットフリート・アウグスト・ビュルガー

子供の頃、読んだ覚えがあるが、なんとなくしか覚えていない本である。 改めて光文社古典新訳文庫で読み返してみる。 ミュンヒハウゼン男爵は実在する人物であるが、モデルとしてこのような法螺話が世界中で広く読まれているというのは、なんとも愉快ではな…

わが人生処方/吉田健一

気になってた吉田健一のエッセイ集を読んだ。 恐らく様々なところに発表された、ちょっとしたエッセイを再構成したもののようで、同じタイトルのエッセイが並んでいたりする。 それはともかく、人生処方とは何だろう、人生訓みたいなものだろうかと想像して…

象の記憶/川添象郎

この本もまた図書館で借りた。 高橋幸宏氏、坂本龍一氏の逝去に伴って、村井邦彦氏の動画やYMO結成秘話的なエピソードが溢れたように思う。 そんな中で、川添象郎氏の名前を知り、この本を知った。 川添象郎氏のエピソードについては、Wikipediaを始め様々に…