雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

放浪日記/山下清(式場隆三郎、渡邊實 編集)

ある方から譲ってもらったので読んでみる。 たぶん「裸の大将放浪記」の元ネタになっているのはこの本ではなかろうか。 編者の式場隆三郎は精神科医で、山下清の才能を世間に知らしめた一人だろう。 もう一人の渡邊實は、山下清がいた八幡学園の職員である。…

奇妙な孤島の物語/ユーディット・シャランスキー

これも気になってた本。 図書館に無いだろうなぁ、と思い込んでいた。 著者はドイツの作家で、ブックデザイナーでもあるそうだ。 章ごとに海図の中の孤島の位置が示され、それぞれの島は地図に1ページ、エピソードに1ページで構成されていて、隙間に簡単な歴…

旅の時間/吉田健一

なんとなく、吉田健一を読み返してみる。 選挙で政治めいているから、吉田茂の息子を読んでみるかという意図ではない。 十篇の連作短編なのだけれど、共通しているのは主人公が旅行しているらしいこと、主人公は誰かと話をしている、というぐらいだろうか。 …

新編「昭和二十年」東京地図/西井一夫、平嶋彰彦

いつ頃買ったのかもう覚えていない。 背表紙は日焼けで色褪せてるし、奥付を見ると1992年の初版だった。 20代の自分は、何を思ってこの本を買ったのか、もう覚えていない。 タイトルの通り、昭和20年前後の文章や新聞記事などから、当時の東京の姿、人々の姿…

エストニア紀行/梨木香歩

身近なことが騒がしい時は、とても遠くのことを考えることにしている。 エストニア、と聞いて思い浮かべられるものは、正直なところ何もない。 バルト三国の一つと聞いても、位置関係も判っていない。 単に自分の教養の無さでしかないけれど、それだけ遠い国…

四国八十八ヶ所感情巡礼/車谷長吉

ひと段落着いたので、通常の読書に戻る。 図書館の中でどんなジャンルを読みたいのだろうかと考えているうちにフロアの端まで来てしまう。 小説でもないし、実用書でも無いし、と思っているうちに、紀行文はどうだろうかと思った。 車谷長吉、名前は何となく…

入浴の女王/杉浦日向子

暇に任せて、久しぶりに杉浦日向子を読み返す。 この本は全国の銭湯を巡り、そこで出会った人(老若男女)、銭湯内(女湯)の様子、酒や美味いもの、などが面白可笑しく語られる。 銭湯や町の歴史のようなものも少し触れられる。 ちょっとふざけ過ぎている面…

日本魔界案内/小松和彦

久しぶりに引っ張り出して読み返してみた。 民俗学の入口は小松和彦だった。 10代の頃に、鬼や異人、呪いに関する書籍を読んだと記憶している。 この本は、2002年に出版された日本各地の異界と繋がるような場所のガイドブックである。 当時、「パワースポッ…

ふるさとの手帖/かつお

だいぶ前に買ったのだけれど、一気に読んでしまうのがもったいなくて、ちびちびと読んでいた。 けれど読書というのは、ある程度、まとまった時間をかけないと読んだ気にもならなくて、たかだか数ページ読んで閉じてを繰り返していても、感想も何も生まれない…

幻島図鑑/清水浩史

本屋で見かけて買おうかどうしようか迷っていたけれど、図書館にあったので借りてみた。 日本の無人島の紹介と探訪記といったエッセイである。 また、島の写真も美しい。 無人島になってしまう経緯、島民の思い、というところに焦点を当てているのが面白い。…

伊豆の旅/川端康成

ふと、川端康成が読みたくなって借りてみた。 あまり熱心な読者ではなかったが、何冊かは読んだことがある。 しかし、名作と名高い「雪国」や「伊豆の踊子」は読んだことが無い。 避けていたわけでもないが、食指が伸びなかったのもまた、事実である。 せっ…

流れのままに/フィリップ・スーポー

シュルレアリスムの本を読み漁ったころには、既に手に入らなくなっていた小説のシュルレアリスムシリーズなのだが、最近、ふと思い出して検索してみたら手に入った。 便利な世の中になったものだ。 スーポーはブルトンとの「磁場」でしか読んだことが無かっ…

豆くう人々/長谷川清美

気になったので、図書館で借りてみた。 世界中の豆料理を取材している。 巻末の方のリストを見ると本になっているのはその一部という事にも驚く。 中南米、アフリカ、中東、東欧と、料理として、メジャーでない国や地域も多く含まれていて、人々の日常食とし…

井上井月/春日愚良子 編・著

この本は1992年の初版本だが、恐らく96年ぐらいに買ったのだと思う。 今でこそ、井月についての本が何冊も出ているが、当時はこれしか手に入らなかったのだと思う。 井月の名前を知ったのは、つげ義春の「無能の人」の第6話「蒸発」である。 故郷を捨て、長…

旅の流儀/玉村豊男

旅に関する本が読みたくて、図書館で借りた一冊。 かつて、BRUTUS誌上で、玉村豊男氏の文章をよく拝見した。 フランス留学の経験があり、食やワインに関する蘊蓄があり、20代の頃に憧れを持って読んでいたように思う。 この本もまた、氏の経験を基にした洒脱…

イスラム飲酒紀行/高野秀行

taknalというアプリですれ違った一冊。 禁酒が戒律であるイスラム圏で酒を飲むというエッセイ。 面白可笑しく書かれているのであるが、見えてくるのは文化の多重性であり、異文化に対する無理解だという事が分かってくる。 イスラムとは何か、ということを理…

花嫁化鳥/寺山修司

ふとこの本のことを思い出して本棚から取り出した。 寺山修司の書いた紀行文である。 副題に「日本呪術紀行」とあるのは、サービスのような気がする。 日本の奇習、伝承を訪ね紹介する、という態を取りながら、その背後にある人々の姿を浮かび上がらせようと…

チベット旅行記/河口慧海

読了まで何ヶ月かかっただろうか。 まぁ、長い旅行記である。 それだけ道中の出来事やら沢山あるのだが、事の仔細が、上から目線なのが気になった。 明治維新の矜持を前提に他国を眺めているので、それはもう酷い言い様である。 冒険記として、或いは民俗学…

沖縄生活誌/高良勉

この方の著作を読むのは初めてだと思っていたら、吉本隆明の南島論の著作「琉球弧の喚起力と南島論」で共同執筆されていた。 この本は、一言でいうなら、四季を通じて沖縄の慣習等を紹介する本だ。 正月に始まり大晦日に至る沖縄の一年を、フィールドワーク…

山の湯雑記/折口信夫

これもまた電子書籍。 自詠の和歌と、山村の温泉の随筆を、交互に構成した作品。 東北のようなのだが、どれも行ったことがない。 いつか行けるだろうか。 言葉少なめな随筆であるだけに、ちょっと行ってみたい感じもする。 山の湯雑記 作者: 折口信夫 発売日…

酒に呑まれた頭/吉田健一

とにかく食べる話と、呑む話と、旅の話だ。 他愛も無い話といえばそうなのだが、それ以上の話題って何かあるのか、とでも言いたそうだ 。 他人様の色恋話を聞かされるよりは、酒の話をしてた方が良い、という境地かもしれない。 判るような判らないような。 …

転がる香港に苔は生えない/星野博美

香港が騒がしい。 民主化要求デモが衝突騒動にまで発展している。 そんなニュースを聞いて、この本をもう一度読み返してみようと思った。 この本は、中国返還前後の星野博美によるルポルタージュだ。 とはいえ、政治的な意図があるのではなく、自分の皮膚で…

もし僕らのことばがウィスキーであったなら/村上春樹

ひどくくたびれている自分に対していったい何ができるのかを考えている。 この本は村上春樹によるアイラ島とアイルランド紀行である。 ウィスキーの蒸留所やパブを巡る姿は羨ましい。 ささやかなこの本を読むうちに、そういえば自分のための酒を飲んでいない…

血と薔薇のフォークロア/栗本慎一郎、中村英良

この本は栗本慎一郎によるブダペスト、トランシルバニア紀行である。 1980年代初頭のハンガリー、ルーマニアなので、まだ自由化されてはいない。 建築に施されたアール・ヌーヴォー様式と諸民族の歴史を振り返りつつ、時折、自説やカール・ポラニーの言説を…

男なら、ひとり旅。/布施克彦

この本もまた図書館で借りた。 ひとり旅というのは楽しくなく、その前後が楽しいのだ、という著者の意見は、言い得て妙だ。 中高年向けの軽いエッセイではあるが、共感できる部分は多い。 同じ顔ぶれで旅行をしていてもやがて飽きるとか、外国に定住するのは…

ブッダ最後の旅 大パリニッパーナ経

自分のパーソナリティとして宗教的要素が皆無であるが故、仏経典をどのように読めばいいのか、まだ自分の中で定まっていない。 だから、一字一句を「教え」として受け止めることもできないし、それらに対して批判的な立場を取ることもできない。 できるとす…

マレー蘭印紀行/金子光晴

昭和初期の東南アジア。 金子光晴は日本を脱出し東南アジアを放浪し、やがてパリに行き着く。 「どくろ杯」「西ひがし」「ねむれ巴里」での旅の記憶より、この本に描かれる南国の風景は、生活の匂いがする。 日本人、中国人、マレー人、インド人、様々な民族…

ぢるぢる旅行記/ねこぢる

熱を出して寝込んだので、いくつか本を読みまくっていた中の一冊。 ねこぢるは90年代に活躍し、自殺してしまった漫画家である。 一時、気に入って買い漁っていたが、最近はあまり読んでいない。 ねこぢるの作品の中でも、この本は読みやすい方だろう。 旦那…

芝生の復讐/リチャード・ブローティガン

出張に持っていく本をさんざん悩んだ挙句、この本を持っていった。 だが、出張というものを甘く見ていたのか、あるいはこの本の特性を見極め切れていなかったのか、原因はどちらか判らないが、あまりぴったりと言う気がしなかった。 おもに読んだのは、飛行…

女流阿房列車/酒井順子

図書館で借りてみた。 著者のことは全く知らない。 「阿房列車」というタイトルに惹かれただけのことだ。 だが、読んでみると、これがなかなかに面白い。 軽くさらりと読み流せる。 自称の乗り鉄のようだが、車中で爆睡していたり、うんざりしていたり、何だ…