雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

芭蕉入門/幸田露伴

芭蕉という名前は、ある種のシンボリックな記号であり、その名前を出せば免罪符的な効果があるようだ。 だが幸田露伴の芭蕉論は、批評というよりは、読者として面白がっているようなところがあると思った。 だが、幸田露伴の持つ江戸文学に対する素養と、自…

トリエステの坂道/須賀敦子

須賀敦子氏の名前は、アントニオ・タブッキの翻訳者として覚えてはいた。 しかし、作家としての作品に手を取ることもなかったのだが、ちょっと読んでみようかと図書館で借りてみた。 実に不勉強なことなのだが、イタリア在住の後、上智大学で教鞭を執り、日…

ハーモニー/伊藤計劃

スマートウォッチがリアルタイムに人体の情報を収集し、クラウド上に集積して、AIが夕飯のオススメをプッシュ通知で知らせる、というのは既に現実である。 システムに接続すると健康が維持される世界は、徐々に現実に近づいている。 フーコーが告発した生権…

アドラーをじっくり読む/岸見一郎

最近、アドラー心理学をよく耳にするので、また解説本を読んでみた。 そろそろ直に触れたほうが良いだろうか。 まだ何故か躊躇ってしまう。 アドラーをじっくり読む (中公新書ラクレ) 作者: 岸見一郎 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2017/07/06 メデ…

白い人・黄色い人/遠藤周作

実に居心地の悪い小説だ。 だが本来、小説とはそういうものだろう。 「白い人」はドイツ占領下のリヨンが舞台である。 ナチスに協力する無神論者の主人公と、拷問にかけられようとも神を信じ、レジスタンスに協力する旧友。 限界状況における倫理的行動がテ…

<レンタルなんもしない人>というサービスをはじめます。/レンタルなんもしない人

Twitterでアカウントを見かけて、本がでてるので読んでみた。 ネットアカウントの方の本を読むのは2人目だと思う。 いい意味でも悪い意味でもなく、ネットで見たままの本だった。 Twitterで知っている人が、意外な一面とか裏話とか期待しても、ここには知っ…

それは「うつ病」ではありません!/林公一

何となく借りてみた。 先日のガザニガの本を紹介していた精神科医の方だと思う。 中年にもなって久しいと、「うつ病」はちょっと身近に感じる。 大したこともやっていないが会社員生活の中で、メンタルに問題があって辞めてった人は何人もいるし、辞めないま…

イスラーム入門/中田考

イスラム世界は、間違いなく今後の世界の一つの軸になる、と思っている。 99のキーワードで、イスラム世界の歴史、政治、社会、文化などをざっと俯瞰できる本。 到底、数ページの話だけでは理解できたとは言えない。 入門としては良いのだけれど、そこからど…

眠れぬ夜に読む本/遠藤周作

何となく図書館で借りた。 遠藤周作を初めて読んだのは、子供の頃に家にあった孤貍庵シリーズのエッセイだったと思う。 なので、純文学作品よりエッセイの印象が強い。 そんな孤貍庵シリーズのエッセイなのだが、江戸趣味の話や、スピリチュアル系の話が多い…