雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

追憶

田中角栄100の言葉

この本もまた図書館で借りた。 今更ながらに田中角栄に興味が湧いたので読んでみる。 子供の頃、田中角栄、大平正芳、福田赳夫はものまね番組の定番だったな。 あの頃は田中角栄が何をした人かは知らなかったが、改めて読むとまともな事を言っていたことに気…

コンニャク屋漂流記/星野博美

星野博美を知ったのは、このブログをはてなに引っ越した頃に見ていた、とあるブログだったと思う。 そのブログがどこだったかもう覚えていないが、おそらく同年代だろうと思われるブロガーが、星野博美にシンパシーを寄せていたのを覚えている。 かれこれ10…

意識・革命・宇宙/埴谷雄高、吉本隆明

1975年の埴谷雄高と吉本隆明の対談。 テーマがあるようで無いような、対談として意見が平行線な感じがする。 「死霊」の話はともかく、革命や内ゲバ、戦前のプロレタリア運動について語っているのは、隔世の感がある。 吉本隆明は絶えず日本中世の仏教思想に…

ノストラダムスの大予言/五島勉

1999年7月に恐怖の大王が来て世界が滅ぶ、という予言は、小学校の教室の中で、幾度となく盛り上がった。 どうせ世界は滅びるんだから、やりたいことをやったほうが良い、という価値観は、1980年代後半からのバブル期の消費マインドの根底に繋がっていたよう…

阿修羅のごとく/向田邦子、中野玲子

子供の頃、NHKのドラマで観た記憶がある。 オープニングはトルコのCeddin Dedenで、これがとても印象的だった。 その後民族音楽を聴くきっかけだったと言っても、過言ではない。 名取裕子が出演してたように記憶していたが、これは勘違いだったようだ。 ドラ…

月の塵/幸田文

いまさらながら、幸田文の読者とは誰なんだろう、と思った。 懐古的な随筆はいつの日か考古趣味の対象になり、文学としては読まれなくなるのではないかという気がする。 幸田文が書いている対象について興味がある読者というのは誰なのだろう。 そして、幸田…

季節のかたみ/幸田文

幸田文の文章に惹かれている。 そう思って随筆を借りてきたのだが、ちょっと違うようだ。 悪くはないのだが、ちょっと思ったのと違うと言うか。 読者の勝手な思い込みなんだろうとは思うのだが、いまひとつに感じてしまうのは、老いの影が見える点だろうか。…

父・こんなこと/幸田文

幸田文は幸田露伴の次女である。 従ってこの「父」とは幸田露伴のことである。 幸田露伴の臨終記ともいえる表題作、その亡き父の思い出を語る随筆である。 幸田文の語り口は、東京の下町の喋りの息遣いが感じられる。 たぶん、言葉使いだけじゃなく、その背…

チベット旅行記/河口慧海

読了まで何ヶ月かかっただろうか。 まぁ、長い旅行記である。 それだけ道中の出来事やら沢山あるのだが、事の仔細が、上から目線なのが気になった。 明治維新の矜持を前提に他国を眺めているので、それはもう酷い言い様である。 冒険記として、或いは民俗学…

日本の面影/ラフカディオ・ハーン

久しぶりに、ラフカディオ・ハーンを読む。 この本はハーンの日本賛美の本である。 そうでない読み方ができないぐらい、日本を持ち上げているので、読んでいる方が気恥ずかしくなるくらいだ。 それにしても、いつから日本賛美のTVが、こんなに溢れているのだ…

鍵/谷崎潤一郎

本当は電子書籍版の全集で読んだのだけれど、そのことをいちいち言うのもどうかと思って、これからは気になったものだけ取り上げようかと思う。 「鍵」は何度も映画化もされているから、有名な作品だろう。 読まれないように小細工をしながら、読まれること…

ねらわれた学園/眉村卓

この本もまた図書館で借りた。 言うまでも無く、ジュブナイルの傑作としてよく知られている本である。 遥か昔の子供の頃に、NHKのドラマで見た記憶があるが、すっかり内容を忘れているので、読んでみた。 判りやすくてテンポの良いストーリーであり、あっと…

銀河鉄道の夜/宮沢賢治

久しぶりに読んでみた。 初めて読んだのは、小学生の時だ。 当時、何を思ったのか覚えていないが、当時から好きな作品であることは間違いない。 僅かに分別のついた大人になって読み返してみると、宗教的な点が気になってしまう。 もちろんそれが、弱点なの…

甲州郡内妖怪事件取り調べ報告/井上円了

この本もまた電子書籍で読んだ。 東洋大学、哲学堂の設立者である、井上円了が山梨で起こった妖怪騒ぎを検証するというもの。 実際どんな内容なのかを此処で明かすのは面白くないので行わない。 短いので興味のある方は読んで欲しい。 こういった事件が大騒…

空襲下の日本/海野十三

以前、文体が似ていると診断されたことがある海野十三を読んでみる。 戦争中の日本の人々の姿を描いている。 市街地の空襲が、まるで見てきたかのように書かれているが、この作品が発表されたのは、昭和8年である。 どこかで見聞きした情報を、東京の上に展…

狐/永井荷風

永井荷風の初期短篇である。 幼年期の記憶を元に書かれた物語は、実に鮮やかだ。 少年の心に映る薄暗い不気味な庭、威厳があって権力の象徴のような父、白い雪の上に滴る赤い血、そして絵草子の鬼のような大人の姿。 淡々と描かれながらどの場面も印象的だ。…

ONCE/谷川俊太郎

古本屋で見つけて、衝動買いした。 なぜ過去は斯くも恥ずかしいものなのか、と私は思っているのだが、谷川俊太郎氏は易々とそれを提示してしまっている。 本当は易々とではないのかもしれない。 10代の恥ずかしさとは違う、20代の恥ずかしさ、くだらなさ、駄…

タイムマシン/ハーバート・ジョージ・ウェルズ

2013年の読初めは、H・G・ウェルズのタイムマシンから始めよう。 この本は、中学生の頃、小岩の古本屋で100円で買った。 今もあの古本屋があるのか判らないが、小遣いを握り締めてチャリを飛ばして、買いに行った思い出がある。 街中にある小さな古本屋で…

マルテの手記/ライナー・マリア・リルケ

確か高校生の頃に読んだはずだ。 改めて読んでみると、自意識の塊のような文章がとても息苦しい。 特に事件や展開があるわけでもなく、思い出や吐露がただ連なってゆく。 そして、死の影や心霊現象まで登場する。 何故この本を読み通せたのか、あの頃の自分…

1984年/ジョージ・オーウェル

あまりにも有名な、SFの古典である。 出版されたのは、1949年だから、60年前に想像した35年後の憂鬱な未来であり、この記事を書いている28年前のあり得べき未来、という訳だ。 オーウェルが想像した、そのままの未来は出現しなかったが、質の悪い冗談のよ…

檸檬/梶井基次郎

梶井基次郎と中原中也は十代の頃に読んでおく本だと思っている。 というか、いまさら読むべき本ではない気がしていた。 ランボーもそうかも知れない。 もちろん、個人的な独断なので、正しいかどうかは知らない。 しかしそんな考えは、各社文庫本の夏のフェ…

妖怪なんでも入門(入門百科シリーズ32)/水木しげる

小学生の頃、読み耽った本。 夏休みには、「ゲゲゲの鬼太郎」の再放送も見ていた。 夢子ちゃんだかを守って戦う正義の味方ではなく、人間界と異界との境界線上の存在だったと思う。 エンディングの歌では、下駄が独りで歩いて遠ざかってゆく姿が、何とも哀し…

カエルの死/夢枕獏

本棚の片隅に眠っていたのだけれど、本棚の整理と共に引っ張り出して読んでみた。 今や「エロスとバイオレンスとオカルトの作家」(と本人が語っていたと、Wikiに記載がある)なのだけれど、この本はタイポグラフィックの本である。 1977年に筒井康隆氏主催…

「歴史の終わり」と世紀末の世界/浅田彰

これももう手放してしまった本である。 80年代のニューアカブームも過ぎ去った頃に、フランシス・フクヤマの「歴史の終わり」をネタに、浅田彰の対談を集めた本だったと思う。 でどうだったかというと、世界中が資本主義に覆われるという立場にも与せず、以…

独裁者の言い分―トーク・オブ・ザ・デビル/リッカルド・オリツィオ

これも手放してしまった本である。 世界の独裁者といわれる人々へのインタビュー集である。 言い分に何か耳を傾けるべきものはあるかというと、全く無いと思う。 だが、はなから言い分を聞かないのは、同じ次元での誤った考え方だと思う。 そんなことを思っ…

蠅の王/ウィリアム・ゴールディング

この本もまた手放してしまった本である。 少年たちが無人島に漂着し、救助を待つうちに、狂気と殺戮の世界へ陥ってしまう、という物語だったと思う。 ジュール・ヴェルヌの「十五少年漂流記」とほぼ同じ設定でありながら、正反対の場所に物語はたどり着く。 …

ロック・エンド/阿木譲

東京の下町の外れの川沿いの小さな町の本屋。 だが中学生にとって本屋は、図書館では手に入らない最新の情報が溢れていて、主人の隙を見ながら立ち読みすること、あるいは小遣いを握り締めて、厳選を重ねた本を買うことで、ささやかな世界への扉を開こうとし…

ノストラダムスの大予言―迫りくる1999年7の月、人類滅亡の日/五島勉

改めて言うまでも無いが、「1999の年、7の月に恐怖の大王がやってくる」、という予言めいた詩句でノストラダムスを解釈して売れまくった本、とでも要約してみよう。 もう手元には無いのだが、中学生の頃に古本屋で買った覚えがある。 内容はもううろ覚えだが…

磯野家の謎/東京サザエさん学会

これも手放してしまった本だ。 サザエさんの家というのは、おそらく新聞で連載していた頃は、それなりに普遍なありふれたものだったのだろう。 それが高度成長期を経て、オイルショックを経て、バブルを通過することで、およそかけ離れたものになってしまっ…

ドラえもん (6)/藤子・F・不二雄

改めて言うことでもないが、ドラえもんの最終回が収録されている。 もちろん、次の7巻でドラえもんが帰ってきて、大作となるのだが。 しかし、子供心にこの巻の最終回が、とても悲しかった気がする。 なぜ悲しく感じるのか? ドラえもんを読むときに、私は…