食
ブルトンがジャリを評して ジャリはアブサントにおいてシュルレアリストである と書いていたので、実際、アブサン酒を呑んでみたいと思ったけれど、その前にアブサン酒とはどんなものなのか、ちょっとした本を読んでみることにした。 図書館の予約システムで…
料理本は味覚の想像力を鍛えるのだと思う。 この本はレシピ集というよりエッセイに近いのだが、写真は一切なく、池田葉子氏のイラストで内容が補足されている。 では何のエッセイなのかというと、料理の手順に近く、レシピ集のようでもある。 正月からぱらぱ…
例えば物語を読むことは、世界の因果律を想像することであり、ビッグ・バンについての解説書を読むことは宇宙の始まりを想像することであり、クウォークについての解説書は目に見えない物質の究極を想像することであり、料理本を読むことは未知の味覚を想像…
料理本というよりは、料理文化の本のようだと思った。 例えば美味しいものを食べた、という話ではなく、この美味しい料理は素材の美味しい時期を知っている先人の知恵が云々、といったニュアンスで伝わるだろうか。 それが面白い時もあるが、何となく冷めた…
一言で言うなら、ふざけた本である。 酒呑みによる、酒呑み中心の論理で書かれたエッセイだ。 たぶん、酒を呑まない人からしたら、屁理屈、こじつけ、言いがかりに見えるかもしれないが、酒を嗜む身からしたら至極真っ当な話ばかりである。 当然、酒を嗜むの…
気になったので図書館で借りてみた。 コーヒーの歴史から、江戸時代の長崎におけるコーヒーの伝播、そして近代のカフェまで網羅的に言及している本である。 長崎まで行き文献に当たったり、訪日外国人のコーヒーに関する記述、海外漂流者のコーヒーに関する…
気になったので、図書館で借りてみた。 世界中の豆料理を取材している。 巻末の方のリストを見ると本になっているのはその一部という事にも驚く。 中南米、アフリカ、中東、東欧と、料理として、メジャーでない国や地域も多く含まれていて、人々の日常食とし…
気になってた本なので、図書館で借りてみた。 実際の海上自衛隊の各艦、各基地のカレーレシピ集である。 海上で作るため、限られた材料で工夫している、というレシピである。 海上自衛隊のめちゃうまカレーレシピ48 新人物往来社 Amazon 海上自衛隊のめちゃ…
この本もまた図書館で借りた。 カレーライスに関する文章を44篇集めた本。 家庭のカレーが一番だという意見は容易く想像がつくが、案外、本場のカレーも人気がある。 軽くサラッと読めるが、時折、クスっとしたり考えさせられるのもある。 アンソロジー カレ…
久しぶりに高橋睦郎のエッセイを読む。 東京を離れ、逗子に引越したいきさつ、そして食に関するエッセイといったところ。 約30年前のバブル期に書かれているためか、詩人のちょっと華やかな交友関係や生活が垣間見える。 詩人の食卓―mensa poetae 作者:高橋 …
久しぶりに田村隆一を読んでみる。 詩と随筆のアンソロジーである。 誰もが田村隆一のように詩を書くことは出来ないが、酒を呑んだり銭湯に浸かったりすることはできそうだ。 スコッチと銭湯 (ランティエ叢書) 作者: 田村隆一 出版社/メーカー: 角川春樹事務…
とあるブログで褒めているのを見て、読んでみようかと思った。 が、図書館で予約したところ、返却待ちになっていた。 そして夏休みの前日に、貸出可能の通知が来て、借りに行けず、結局、1週間遅れで受取って読み始めた。 食事に関する軽いエッセイである。 …
実はまだ読んでいない。 店頭で買おうか買うまいか、しばらく悩んで買わずに帰った。 しかし、これは買うと思う。 短歌のような1行にレシピがまとめられており、写真も良く、記憶に残った。 おつまみ一行レシピ ~きき酒師がつくる酒の肴136品~ (マイナビ文庫…
先月に突然風邪をひいて寝込んだ際に再読。 2日で読みきれずにようやく読了。 相変わらずの百鬼園先生の語りが、病人には優しかった。 御馳走帖 (中公文庫) 作者: 内田百けん 出版社/メーカー: 中央公論社 発売日: 1996/09/18 メディア: 文庫 購入: 7人 クリ…
とにかく食べる話と、呑む話と、旅の話だ。 他愛も無い話といえばそうなのだが、それ以上の話題って何かあるのか、とでも言いたそうだ 。 他人様の色恋話を聞かされるよりは、酒の話をしてた方が良い、という境地かもしれない。 判るような判らないような。 …
吉田健一が再評価されているのは、最近のことではないだろうか。 ところで、吉田健一をどのように知ったのかは、もう覚えてはいない。 石川淳か、倉橋由美子か、或いは松浦寿輝か、その辺りの作家から、名前を聞きかじったのだろうと思う。 日本文学史のメイ…
ふらりと本屋に立ち寄って買ったのだが、読み進むうちに何だかデジャヴュに襲われ、このブログを調べてみたら、2年前に買っていた。 ということで、漢詩で書かれた江戸時代のグルメ本ですが面白い。 「さつまめし」のくだりは涎が出そうになる。 詩本草 (岩…
全5巻セットを持っているのに、しまいっぱなしだったのをふと思い出して、読んでみた。 実にくだらない。 そして面白い。 巨人のガルガンチュワは耳から生まれ、「のみたーい!のみたーい!のみたーい!」と産声をあげる。 お乳を飲ませるために、17913頭の…
何度か読みかけては止めていたのだけれど、ようやく読み終えることが出来た。 古代ローマの小説なのだけれど、一言で言うならスラップスティックだと思った。 特に「トリマルキオンの饗宴」の章は圧巻だ。 奇想天外な料理の数々と、狂騒的な台詞回しは、冷静…
この本は、朝日新聞の土曜版に連載されたコラムを集めたものらしい。 食について、様々な作家が寄稿しているが、大半は初めて読んだ。 恩田陸 糸山秋子(糸は旧字) 古川日出男 村上由佳 井上荒野 山本文緒 藤野千夜 川上未映子 森絵都 津村記久子 三浦しを…
ちょっと気になっていたので図書館で借りてみた。 明治時代の東京の貧民窟、つまりスラム街に入り込んでルポルタージュした本である。 当時の三大貧民窟が、下谷万年町(今の上野駅から鶯谷に向かった東側の一角)、四ツ谷鮫ヶ橋(信濃町と四ツ谷の間、赤坂…
自分の中でどうした訳だか、江戸文学ブームが来ている。 柏木如亭は文政期の漢詩人である。 この本は様々な食べ物と、それにまつわる旅の思い出を書き記した随筆とでも言えよう。 短い文章の中にちらちらと見える食道楽っぷりと、寄る辺の無さそうな旅の思い…
関西弁で言う「けったいな」という形容詞のニュアンスは判らない。 だが、この本は、誰も居ないはずのトイレのドアをノックしたら、返事があった、という話と競るほどの、けったいな話、であるらしい。 主人公は省庁の予算確保のため日本中の美味を堪能する…
開高健のもうひとつのよく語られる切り口は、食べ物に関するエッセイの上手さ、というイメージがある。 なので、そのまんまのタイトルの本があったので借りてみた。 しかし、いきなり人肉嗜食の話から始まり、ゲテモノ食いの話も出てくる。 これはちょっと外…
久しぶりに立ち寄った本屋で見かけたが、一週間ほど悩んで購入。 新刊を買うのも久しいが、倉橋由美子を読むのも久しい。 どうやら晩年の頃の作品らしく、「入江さん」から展開されるキャラクターシステムが登場する。 主人公は、「入江さん」の孫にあたる「…
いつ買った本だろうか。 奥付を見ると、1995年7月1日初版とあるが、果たして出版されてすぐ買ったのかどうかは定かではない。 エスプレッソを巡るエッセイと、エスプレッソを使った幾つかのレシピが、お洒落な雰囲気の写真と共に紹介されている。 ともあれ、…
何となく随筆が読みたくなって、図書館で何冊か借りたうちの一冊。 筆者の大道氏については何も知らない。 「居酒屋」と言いつつ、イタリア料理やフランス料理の店にも訪れているが、そんなことは大したことではない。 店の紹介かというと、そういった面も無…
酒を呑んでいる時の馬鹿話は好きだ。 というか、むしろ馬鹿話しかしたくない。 深刻な悩みを聞きながら呑む酒はどんな味だか知らない。 この本は古代ローマの著述家プルタルコスが、宴会で話した話題を集めた、という体の随想集とでも言うべきだろうか。 全…
何となく食べ物の本が読みたくなる。 かと言って、吉田健一や内田百けんを読みたい気分ではない。 高橋睦郎の「詩人の食卓」もふと頭をよぎったが、今回は止めておこうと思った。 それで、結局、杉浦日向子に手が伸びてしまう。 この本は、「柳多留」から選…
「散歩のとき何か食べたくなって」とは、なんと巧いタイトルだろうか。 つい手を伸ばしてみたくなるように、読者をくすぐる。 内容としては、思い出の中の美味しい店、と言ったところか。 恐らく著者の知識、思い出の全てを、さらけ出しているのではないだろ…