雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

酒場百選/浜田信郎

酒は嫌いじゃない。 というか、むしろ好きだ。 と思っていた。 家でも酒を常備し、何となく呑んでいる日もあった。 だが、歳を重ねるにつれて、呑みに行く友達も減り、自由に使える金も減り、いつしか、会社の呑み会でしか酒を呑んでいないことに気づいた。 …

芭蕉臨終記花屋日記/文曉

大阪の花屋仁左衛門の裏屋敷で、最期を迎えた松尾芭蕉の様子を、弟子たちが記した日記。 という体の、偽書だそうだ。 つまり、弟子たちの本物の記録から、文曉が再構成し、創作した物語である。 この本には、「花屋日記」の他に付録として、其角「芭蕉翁終焉…

芭蕉紀行文集/松尾芭蕉

この本は、 「野ざらし紀行」 「鹿島詣」 「笈の小文」 「更科紀行」 「嵯峨日記」 の5篇が集められている。 私は松尾芭蕉を深く研究したこともなく、俳諧について語れるほどの造詣も持ち合わせてはいない。 だが、この本を読んで思うのは、「生きる」とい…

類推の山/ルネ・ドーマル

ルネ・ドーマルの人となりは、巌谷国士氏がこの本の解説として、詳細に紹介されているので、ここではあまり書かない。 仲間たちと「Le Grand Jeu」(巌谷国士氏は「大いなる賭」、生田耕作氏は「大賭博」と訳されているようだ)という雑誌を発行し、シュルレ…

貧困旅行記/つげ義春

本のタイトルが、その内容を裏切らない。 鄙びた、といえば聞こえが良いが、この本に出てくるような宿屋に泊まってみたいとは思わない。 観光という種類の旅ではなく、日常からの逃避というのに近いようだ。 それまでの日常を捨てて、ひっそりと塵に埋もれる…

太陽と鉄/三島由紀夫

「ミシマの俗悪さが好きだ」と、だいぶ前の記事で書いた記憶がある。(2008/7/11「殉教」) 読んだのが短編集だったからというのもあるかも知れない。 本棚を漁っているうちに、この「太陽と鉄」が目に付いたので読んでみた。 いつもはほとんど読まないのだ…

猫町 他十七篇/萩原朔太郎

いまさらながらに、萩原朔太郎について特に記す必要もないだろう。 この本は、表題作である「猫町」を含む小説3篇と、その他、散文詩的な随筆が収められている。 従って、萩原朔太郎の作品世界の本筋とは言い難いだろう。 それぞれの作品は短く、あっという…

暴力と聖性/エマニュエル・レヴィナス、フランソワ・ポワリエ

買ったのに読み通していない本が何冊もある。 読み通せない理由は様々だが、例えば、全く理解できなかった本もある。 レヴィナスのこの著作も、そういった本だ。 改めて読んでみたのは、ただの偶然であり、たまたま、ボルヘスの「砂の本」とバタイユの「無頭…

話を聞かない男、地図が読めない女/アラン・ピーズ、バーバラ・ピーズ

古本屋で100円で買ってみたのだけれど、結局、読み通せなかった。 男女の脳の構造や特性の差と、行動的なあるある話を繋げている、とでも言えばいいだろうか。 まあ、そうか、という感想しか持てなかったのは、読み手の力量のせいだろうか。 何となく残念な…

ティンブクトゥ/ポール・オースター

主人公は犬である。 世の中には犬好き、猫好き、その他動物好きな方々がいらっしゃるので、この本もそういったカラーの本かと思い込んで、なかなか手が出せずにいた。(表紙もまた、それっぽい写真じゃないかと思ったりもするのだが…) 主人公のミスター・ボ…