2013-01-01から1年間の記事一覧
気になったので、図書館で借りてみた。 あとがきによれば、この本は最後の著作だという。 内容を乱暴に要約すると、南シベリアを基点とするシュメール人によってもたらされた文明という病に侵された、世界史の概略といったところだろうか。 この場合の文明と…
久しぶりに開高健を読んでみたくなり、図書館で借りた。 このブログにコメントを残していただいた方に、開高健を教えていただいたのは、いつのことだったか。 ともあれ、読んでみると、その小説世界にたちまち引き込まれた。 今まで読んでいなかった自らの不…
クリスマス・イブに仏教の文献を読み終えるのも、そこに意図は無いのだけれど、何かの縁だろうか。 往生要集を知ったのは、方丈記の部屋の設えの中に以下のように登場するからだ。 西南に竹のつり棚を構へて、黒き皮籠三合を置けり。 すなはち和歌、管弦、往…
ふと読み返したくなり、図書館で借りてみた。 軽妙な語り口の本で、ほぼ1日にて読了できた。 栗本慎一郎氏の著作は、偉大なるワンパターンのように、カール・ポラニー流の経済人類学理論が援用される。 この本もまた、経済人類学の入門書であり、「幻想とし…
松岡正剛氏による白川漢字学の入門書である。 今更ながらに、白川静氏の著書が、最近気になっている。 漢字に籠められている、古代中国の呪術的世界を明らかにしていく白川漢字学に痺れてしまう。 今まで習ってきた漢字の知識は何だったのか、と思ってしまう…
島田雅彦氏と言えば「優しいサヨクのための喜遊曲」ぐらいしか読んだことがないかもしれない。 (しかも今は亡き福武文庫だった気がする) この本は図書館で新書棚を物色している中で見つけた。 茶道のように酒道なるものを目指している、というようでもあり…
表題の通り、「禅」の解説なのだが、あまり理解できていないような気がする。 もともと宗教としての仏教に与するつもりはない。 禅宗という仏教の一流派に対して、何か惹かれるものはあるのだけれど、悟り澄ましてわかったふりをするなんて愚の骨頂だろう。 …
出張に持っていく本をさんざん悩んだ挙句、この本を持っていった。 だが、出張というものを甘く見ていたのか、あるいはこの本の特性を見極め切れていなかったのか、原因はどちらか判らないが、あまりぴったりと言う気がしなかった。 おもに読んだのは、飛行…
どういう訳か、この本をインド旅行記だと思っていた。 図書館で借りるときに、ぱらぱらっと中を見ているにも関わらずである。 そそっかしいとかいうレベルではない。 いつまでたっても、小説家としての日常や、佐世保のことは語られるのに、インドに向かう気…
ようやっと、読み通した気がする。 というのは、後半の方は初読の様な気がしたからだ。 文字通り100本の漢字に関する随筆だ。 前半は漢字に籠められている、古代中国の呪術的世界の記述である。 気持の良いくらい断定的に書かれているので、恐らく付いて行け…
短いながら、なかなか面白いエッセイだ。 恐怖とは何かを考察するのではなく、恐怖する実例を挙げていくだけだ。 その中身について書いてしまうと、ネタバレになるのでここでは引用しない。 なるほどと思うものもあれば、そうだろうかと思うものもある。 何…
フィクションではない海野十三を読んでみようかと思って、これを見つけた。 タイトルの通り、警察の司法解剖を見学した際のことが書かれている。 どういう経緯で書かれたのか、何の雑誌に発表されたのかわからないが、野次馬的な、読者の興味を惹こうとする…
他の本も読んでいるのだけれど、スマホで読める青空文庫は意外と重宝している。 海野十三は本屋で探しても見つからないのだが、青空文庫にはそれなりに収録されている。 この本は昭和初期の東京を舞台とした探偵小説だ。 タイトルから推測できる通り、怪奇趣…
性懲りもなく、森鴎外を読む。 軍人の主人公と使用人の諍いの話、とでも言おうか。 描かれる使用人たちの姿に、鴎外の悪意のようなものを感じる。 卑俗で狡すっからい庶民みたいな姿は、一体何なのか。 かと言って、軍人に肩入れしていると言うわけでもない…
森鴎外を青空文庫で読む。 やはり自分は漱石の方が読みやすい。 だがそれは、鴎外の良さに気付けていないからなのだと考える。 例えばこの話は、魚玄機の業の深さのようなものが、主題の様な気がするのだけれど、それを見ている鴎外の視線が気になってしまう…
古本屋で見つけて、衝動買いした。 なぜ過去は斯くも恥ずかしいものなのか、と私は思っているのだが、谷川俊太郎氏は易々とそれを提示してしまっている。 本当は易々とではないのかもしれない。 10代の恥ずかしさとは違う、20代の恥ずかしさ、くだらなさ、駄…
恐らく20年ぐらい連載しているのだろうか。 その中でも、この話は初期の方に登場する。 かなり重たく、そして残酷な話だ。 あらすじを以下に記す。 読みたくない人は飛ばしていただいた方が良い。 ここからがあらすじである。 友人を訪ねて老人ホームに訪れ…
実はKindleではなく、Koboアプリで読んだのだが、まあいいか。 時事ネタを書き流している感じの随筆。 だが、その舌鋒は鋭く、容赦ない。 いつもの安吾節だ。 終戦後の新宿、上野、熱海、伊東、新小岩といった辺りが登場する。 安吾巷談 01 麻薬・自殺・宗教…
また読み返してみる。 現代詩に対する最も良質な入門書のひとつだと思っている。 詩を読むための助走のように、この本を開いている気がする。 つまり、詩というスピリッツを呑む前に、水割りで舌と胃を馴らしておくようなものかもしれない。 この本を読んで…
どうやら、ラフカディオ・ハーンを誤解していたようだ。 どこかで、ヴェンセスラウ・デ・モラエスと混同していたのだと思う。 しかも、どちらがどうだったのか忘れているような始末の悪さだ。 ともあれ、ハーンを読んで思ったのは、案外、政治的な言説が多い…
前にも書いた気がするが、私は名作と言われる作品をあまり読んでいない。 濫読の偏読では無教養といわれても仕方ないので、たまには名作を読んでみようかという気になる。 もちろん読んだからといって、無教養が解消する訳ではない。 ということで、森鴎外の…
30代の前半の頃、熊野にはまった。 中上健次の描く熊野がその導入だったとしても、見聞きし、感じたのは全く異なる。 そして、熊野古道に代表される観光とも異なっている。 その経験を語ることを良しとはしないのだけれど、熊野的な空間をあれから他に見出せ…
気になって読んでみた。 以前、オシテオサレテにて紹介されていたのが気になっていた。 ロバに姿を変えられた主人公が、人間社会の裏側をちら見させるのだが、何と言うか、ふざけた話ではある。 同じく古代ローマ期の小説で比べるなら「サテュリコン」が食と…
かつて実在した村。 今は存在しない。 場所はここ。 http://goo.gl/maps/qDkjt 今は、長野県木曽郡南木曽町大字読書、というらしい。 Wikiによると、三つの村が合併して、「ヨミカキ村」が出来たらしい。 ちょっと気になるような、そうでもないような。 読書…
何となく寝ながら頁をめっくていた。 本を読みたくないのか、読みたいのか良くわからない。 ハーフサイズカメラは今でも使っている。 とは言っても、旅行先で電池の心配の要らないOLYMPUS PEN EE-2が、専ら出番が多い。 本当はオリジナルのPENで綺麗に撮りた…
古本屋で見つけて散々悩んだ挙句買うことにした。 星野博美氏の代表作のようだ。 中国返還前後の香港に滞在した記録である。 紀行でもなく、ガイドブックでもない。 日々起こる出来事が記され、香港という都市、香港人という人々、といったものが浮かび上が…
車で流していたCDにこの曲が入っていた。 ちょっと懐かしい感じもしたが、それ以上に、改めて歌詞に聞き入ってしまった。 特に幾度も繰り返されるサビのフレーズの意味がどうしても理解できないのだ。 反語表現によって、「僕ら」を遮ることが出来ないことを…
全5巻セットを持っているのに、しまいっぱなしだったのをふと思い出して、読んでみた。 実にくだらない。 そして面白い。 巨人のガルガンチュワは耳から生まれ、「のみたーい!のみたーい!のみたーい!」と産声をあげる。 お乳を飲ませるために、17913頭の…
詩人の高橋睦郎氏が俳句の本か、と思って買った。 というのは、かれこれ17年前のようだ。(レシートの日付は1996年だった) 読みかけては止めてを繰り返していたのだけれど、改めて通読してみる。 俳句の本のはずが、記紀歌謡から始まる。 和歌とは一体何物…
何となく月の写真集を眺めている。 地上から見る月じゃなくて、アポロ計画で映された月は、美人に興醒めするようなものかも知れない。 だが、強い光と影のコントラストで彩られた岩だらけの地表と、大気のない黒い空に、何だか惹きつけられるも事実だ。 そこ…