2013-07-01から1ヶ月間の記事一覧
なんて読みにくい本なんだろう、というのが、まず感想である。 ジル・ドゥルーズとフェリックス・ガタリの共著のうち、短いほうなのだと思うが、読みにくい本だ。 決して難解なのではないだろう。 カフカの作品を精神分析にかけて、テクストをネタに、マイナ…
澁澤龍彦氏の最晩年のエッセイである。 架空の対話形式で、裸婦を扱った絵画を縦横無尽に語っている。 かつてのような、ある種の教養主義的なトーンはなりを潜め、呑み屋での雑談のように軽やかだ。 連載の途中で病に倒れたため、巌谷國士氏が引き継いでいる…
読み返したのは、高校生以来だろうか。 世間が選挙で騒がしかったので、つい手にとってしまった。 つまり、その動機はこうだ。 マキャヴェリズムを裏返して、ポピュリズムに迎合する政治的状況を考えようと思った。 この「君主論」は、上手く統治するための…
ラッセルを知ったのは、高校の英語の副読本。 他にも、ディケンズの「デビッド・コパフィールド」や、ホワイトヘッドなんかを教材に使ってたのは、大学になってから改めて驚いた。 教材は良くても、語学力はちっとも身に付かなかった。 バートランド・ラッセ…
マルジナリアとは、本の余白への書き込み、傍注といったことらしい。 気の向くままに綴られたエッセイは特に統一感も無く、思いついたことを書いている風だ。 とはいえ、古今東西の話題に飛ぶのは、いかにも澁澤らしい。 しかし、河出文庫の手帖三部作のよう…
ボロフスキーについて、どう説明すればいいのか。 例えばこうだ。 1980年代に日本に於いて良く知られたアメリカの現代アート作家。 どうもしっくりこない。 興味をもった人は、ネットで検索するだろうし、知っている人は今更だろうから、とりあえず割愛しよ…
会社帰りに衝動買いをした。 東浩紀氏の著作を読むのは、笠井潔氏との往復書簡以来である。 一般的な話として、こういった本を手に取るということは、原発反対という態度に繋がるように見えるかもしれない。 だがこの本は、反対の立場で書かれている本ではな…
ちょっと前に、青空文庫で読み終わっていた。 「いき」とは何か、を考察した本である。 そんなのは無粋だというおちょくりは置いておいて、こういった「日本的なるもの」を解説するのは、どこを目指しているんだろうと思う。 世界の異文化に向けて発信するも…
バタイユの最初期の文章を集めた本。 ランスの大聖堂に対して、まだキリスト教を棄教していないバタイユの、ファナティックな礼賛は何だろう。 そこには私の理解しきれない何かがあって、それは存在の根本に関わるものであるような気がする。 バタイユの語る…
この本は、朝日新聞の土曜版に連載されたコラムを集めたものらしい。 食について、様々な作家が寄稿しているが、大半は初めて読んだ。 恩田陸 糸山秋子(糸は旧字) 古川日出男 村上由佳 井上荒野 山本文緒 藤野千夜 川上未映子 森絵都 津村記久子 三浦しを…
久しぶりに読んだ笠井潔は相変わらずだなと思った。 何が相変わらずなのかというと、日本に対する憎悪と世界同時革命の夢である。 この本は、終戦に至る日本軍と、福島原発事故における政府の意思決定のあり方を並べ、そこに日本的なるものを見いだし、批判…
須賀敦子氏の本を読むのは初めてだが、アントニオ・タブッキの翻訳でその名前は以前から知っていた。 この本は、本好きのためのエッセイといっても良いだろう。 須賀敦子氏の本への愛情があふれている。 あまり付け加えることは無い。 遠い朝の本たち (ちく…
図書館で目に留まったので借りてみた。 岡本かの子を読むのも初めてだし、人生論なんてタイトルの本は、敬遠して手に取ったことは無い。 なのに、目に留まったということは、年を取ったということかもしれない。 だが読んでみて、何が言いたいのかさっぱり入…