雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

推し、燃ゆ/宇佐美りん

この本もまた図書館で借りた。

人気が高くてかなり待ったと思う。

読んだ第一印象は、これは再生の物語だと思った。

まず、推しを通じて世界との関わりを持つ主人公、という設定が面白いと思った。

その推しの暴行事件(の疑い?)がきっかけで、主人公と世界の関わり方が変化していく。

あらすじを語ることは、この作品の理解には役に立たないだろうが、語りたくなってしまうような舞台が設定されている。

第一印象で再生の物語だと言ったが、もう一点、推しとの関係が痛みの感覚で語られるところは、松浦理英子の「ナチュラル・ウーマン」を連想させた。

短い作品ながら、なかなか面白いと思った。

 

ルワンダ中央銀行総裁日記/服部正也

ネットの知り合いが薦めていたので読んでみた。

日本銀行の銀行員がルワンダ中央銀行の総裁として、経済再建を担う。

これはフィクションではなく実話であり、日本人の支援活動というもの一端が見える。

著者の銀行員としての矜持と、ベルギーの旧植民地ルワンダの人々の交流が、感動的である。

自分が若い頃には、国際協力、人道支援、慈善事業とかそういうものに対しては、何となく胡散臭いものとして見えたし、自分のやりたいことではないし、よく分からなかった。

しかし、こういった本を読むと自分の知らないものに対して、知ろうとしていなかったということに気づかされる。

 

 

 

 

ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン/ピーター・トライアス

この本もまた図書館で借りた。

SFだったら買っても良いかと思っているのだけれど、評判があまり良くなくて躊躇ってしまった。

読んでみた結果としては買っても良かったなと思った。

改変歴史物で、第二次世界大戦で日本が勝利した1980年代の世界が舞台である。

過去と現在を行きつ戻りつ、皇国思想、陰謀、拷問、殺戮、人体改造、生物兵器、巨大ロボット兵器の世界が繰り広げられる。

電卓でネットワークに侵入し、システムをハックし、主人公たちはある人物を追いかける。

何かの思想に基づいた勧善懲悪の物語ではないが、読むことで現実は相対化される。

残酷な描写も多く、不愉快に感じるかもしれないが、現実の相対化という意味では面白いのであった。

 

 

わたしのいるところ/ジュンパ・ラヒリ

なんとなく借りてみた。

ずいぶん昔に「停電の夜に」を読んだ覚えがある。

だがそれだけで特に気になっていなかったが、ふと読んでみようと思った。

どこかイタリア?の古い街に暮らす中年女性が主人公である。

瑣細な事が気になるような性格で、共感できるようなできないような、ただ、時々面白いなと思える場面もあり、あまり面白くもないくだりもあり。

また読み返すかどうかは分からない。

 

 

2020年6月30日にまたここで会おう/瀧本哲史

久しぶりに瀧本哲史の著作を読む。

一時期、「君に友だちはいらない」を読んだ上司が心酔し、社内で回し読みがあったことを懐かしく思った。

この本は東大での講演を文字に起こしたものであるため、話題は飛んだり説明が足りなかったりもするが、趣旨は分かるし面白いと思う。

そして趣旨だけ読んだら、きっとつまらない類の主張であろう。

なぜなら、アジテーションであり、共感が前提の論旨だからではないだろうか。

同じ側に立つのであれば面白いし、違う立場に立つのであれば、箸にも棒にもかからないと思う。

あとがきで2019年に氏が亡くなっていたことを知る。

 

 

 

イスラム飲酒紀行/高野秀行

taknalというアプリですれ違った一冊。

禁酒が戒律であるイスラム圏で酒を飲むというエッセイ。

面白可笑しく書かれているのであるが、見えてくるのは文化の多重性であり、異文化に対する無理解だという事が分かってくる。

イスラムとは何か、ということを理解しようが、それだけでは分からない。

理解していないことを浮き立たせるためには、理解していることを否定するというやり方なのだろう。

軽いようでなかなか深いエッセイであった。

 

 

今夜、すべてのバーで/中島らも

もしかすると、中島らもを読むのは、これが初めてかもしれない。

Wikiで見てきたら、泥酔の上、転落死したのが2004年だった。

享年52歳。

今の自分の歳と重なると、ちょっと感慨がある。

だからといって何があるわけでもない。

この本はアル中で入院した顛末といった小説だ。

虚実織り交ぜた物語として、なかなか面白い。

また、オーバードーズで死んだミュージシャンたちのエピソードも、あぁーあれかという感じで、随所にくすぐる要素も散りばめられている。

なかなか楽しめた。