雨の日は本を読んでいたい

あの時の本を読み返したら、今はどう思うのだろう。いつか読み返すために、思いついたことを書いておこう。読みたい本が尽きなければ、雨の日だって、晴れの日だって、読みたい本だけ読んでいたい。

2016-02-01から1ヶ月間の記事一覧

夜長姫と耳男/坂口安吾

坂口安吾を続けて読んでいる。 不意にこんな言葉が突き刺さる。 好きなものは呪うか殺すか争うかしなければならないのよ。お前のミロクがだめなのもそのせいだし、お前のバケモノがすばらしいのもそのためなのよ。 息苦しいのは、坂口安吾のせいではなくて、…

青鬼の褌を洗う女/坂口安吾

坂口安吾を読み出すと癖になる。 この短編の主人公は妾の娘で、戦争中から終戦直後ぐらいの話のようだ。 一人称で語られる物語は、観念的なようで感覚的でもあり、ともすれば何を言わんとしているのか見失いそうになる。 だが時に坂口安吾の言葉が、不意に突…

桜の森の満開の下/坂口安吾

けだし名作だ。ダークファンタジーであり、寓話である。さらってきた女は他の人間を殺すよう指図し、生首でままごとめいた遊びをする。下女として生き残った女は、お喋りが生き甲斐だという。主人公の男はろくでもない人殺しだが、主人公だけが狂気に気づい…

ろくろ首/小泉八雲

この怪談はまるで冒険活劇だ。飛んで行った首は、どこへ行ったのか。そこからまた、新たな物語が生まれる可能性がある。ろくろ首作者: 小泉八雲発売日: 2012/09/14メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る ろくろ首

葬られたる秘密/小泉八雲

生前の物に固執する幽霊の話。恐ろしくはないが、物悲しい。怪談とは何なのか。小泉八雲は怪談のなかに日本的ななにかを見いだしたのではないだろうか。葬られたる秘密作者: 小泉八雲発売日: 2012/09/13メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る

近代支那の文化生活/内藤湖南

中国における近代とはなにかという考察。そのメルクマールとして、平民ということを持ち出して、宋からとしている。さらっと読み流してしまった。近代支那の文化生活作者: 内藤湖南発売日: 2012/10/01メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る

男ごゝろ/永井荷風

勢い付いて永井荷風を続ける。 短篇小説で15分もあれば読める。 気になる女を落として、面倒くさくなって離れていく、そんな短篇である。 そんな男もいるさ、とやり過ごせるなら大人の女性だろうか。 デートの場所が浅草という辺りに時代を感じる。 男ごゝろ…

狐/永井荷風

永井荷風の初期短篇である。 幼年期の記憶を元に書かれた物語は、実に鮮やかだ。 少年の心に映る薄暗い不気味な庭、威厳があって権力の象徴のような父、白い雪の上に滴る赤い血、そして絵草子の鬼のような大人の姿。 淡々と描かれながらどの場面も印象的だ。…

耳目記/芥川龍之介

Kobo Glo HDを買ったので、さくさく青空文庫が読める。 性能ではタブレットやスマホと比べられるものじゃないけど、電子書籍端末はありだと思う。 ということで、3ページほどの芥川のアフォリズムをさくっと読む。 芥川のアフォリズムはどこか皮肉めいた笑い…

酒に呑まれた頭/吉田健一

とにかく食べる話と、呑む話と、旅の話だ。 他愛も無い話といえばそうなのだが、それ以上の話題って何かあるのか、とでも言いたそうだ 。 他人様の色恋話を聞かされるよりは、酒の話をしてた方が良い、という境地かもしれない。 判るような判らないような。 …