2012-01-01から1年間の記事一覧
本との出会いとは不思議なものだと思う。 今まで鬼貫という俳人の名前すら知らなかったのだけれど、この本を読んで気に入ってしまった。 上嶋鬼貫は、1661年に現在の大阪府伊丹市に生まれ、1738年に亡くなった、江戸時代の俳人だそうだ。 東の芭蕉、西の鬼貫…
だいぶ前に見かけなくなっていたので、絶版かとあきらめていたのだけれど、ふと立ち寄った本屋で発見し、買ってしまった。 倉橋由美子氏の後期に代表される「桂子さん」モノの第一作目である。 読み終えて思うに、物語を要約することに、意味は無さそうだ。 …
何だかブローティガンが読みたくなる。 この本は、名前のない「わたし」が、アイデス(iDEATH)に暮らすいきさつやら、日々を描く。 その名前と言い、それを取り巻く「忘れられた世界」や、対立するインボイル(in boil?)、虎たちや鱒たちなど、とても意味…
赤坂6丁目のマンションの立ち並ぶ一角に、勝海舟邸跡という碑がある。 当時を偲ばせるものは何もない。 その辺りは、氷川町といわれていたようだ。 なので、氷川清話という題なのだろう。 特に幕末好きという訳ではない。 だが、勝海舟は気になる。 江戸幕府…
ラベルのバレエ音楽であったり、絵の題材だったり、三島由紀夫の「潮騒」の下敷だったりするが、この本がオリジナルらしい。 とは言え、作者のロンゴスについては、ほとんど解っていないらしい。 どんな話かと聞かれたら、古典的なボーイミーツガールの物語…
池田満寿夫氏の作品について、何か語れるほど知っているわけでもない。 子供の頃のおぼろげな記憶では、モジャモジャ頭の芸術家だ。 版画や映画、そして小説を手がけていたと思う。 「エーゲ海に捧ぐ」や「窓からローマが見える」はどんな話だったろうか。 …
結局のところ、恋とは何なのかは解っちゃいないというのが、最近判って来たような気がする。 それは恋愛論なんて語るべき言葉も持たないし、恋愛小説を読んでみたって、それほど心動かされるものでもないようだ。 それが他人の恋だからかというと、決定的な…
シオランの本もまた、時々読みたくなる。 一時期は次から次へと読み漁ったっけ。 この本は、シオランが22歳の時に書いた本だ。 語られるのは、眠れない夜であり、生に内在している死であり、理性への不信であり、そして虚無へのオマージュ。 これらの言葉が…
これも大分前から気になっていたのだけれど、ようやく買った。 どの作品もほんの数ページの掌篇からなる、ブローティガンの短編集である。 例えば表題作の可笑しさは何と言えば良いのだろう。 可笑しな物語でありながら、庭の木を切り倒しガソリンをかけて燃…
確か高校生の頃に読んだはずだ。 改めて読んでみると、自意識の塊のような文章がとても息苦しい。 特に事件や展開があるわけでもなく、思い出や吐露がただ連なってゆく。 そして、死の影や心霊現象まで登場する。 何故この本を読み通せたのか、あの頃の自分…
時々、ビリー・ホリデイが聴きたくなる。 何故だかは判らない。 当然ながら、自分が生まれる前に亡くなっているし、親達が聴いていたわけでもない。 (小さい頃、父方の祖父母が浪花節を聞いていたのは覚えている) 独特の声の響きと、そこに漂うものに魅か…
この本はボルヘスが1967年に行った講義録である。 テーマは、詩をめぐる ・詩という謎 ・隠喩 ・物語り ・言葉の調べと翻訳 ・思考と詩 ・詩人の信条 という6つである。 この中で、ボルヘスは韻文は散文に先行する、と述べている。 感覚的には、散文を形式化…
中国の神話や故事を題材にした短篇集である。 どこかで聞いたことのあるような話もあるし、よく判らないのもある。 それにしても「剣を鍛える話」の、キレっぷりは凄い。 煮えたぎる鼎の中で、生首が戦うという発想は一体どこからやってくるのか。 因果応報…
若き日のゲバラが、アルゼンチンからバイクで南米大陸を北上し、チリ、ペルー、コロンビア、ベネズエラへと至る旅の記録である。 バイクにアルベルト・グラナードと2ケツで出発するのだが、バイクは故障し、廃車に追い込まれ、やがてヒッチハイクで旅を続け…
確か持っていたはずと探したら、本棚の一番上の隅の方にあった。 この本は、1999年に出版された。 内容は大きく3つのブロックに分かれている。 エキゾティシズム クロノス・ヴィジュアル スクリプト・ヴィジュアル エキゾティシズムのブロックでは、清朝の宮…
中野美代子氏を知ったのは、澁澤龍彦経由であったか、それとも、福武文庫の「孫悟空の誕生」であったか、あるいは雑誌ユリイカで見知ったのか、今となってはもう定かではない。 中国文学を巨大な幻想の森へと塗り替えてしまうその文章に魅入ってしまった。 …
どうしても気になっていたので買ってしまった。 この本は、1979年、ブエノスアイレスのコリセオ劇場での講演集であり、テーマは 神曲 悪夢 千一夜物語 仏教 詩について カバラ 盲目について の七つである。 穏やかに、時にはユーモアを交えながら語られる、…
何とはなしに、図書館で借りてみた。 西日本新聞に連載されていたようだ。 こういった随筆はどう捉えるのか、よく判っていない。 幸田文は幸田露伴の娘であり、明治生まれの女性である。 自分の母方の祖母が、明治生まれだったことを思い出すのだけれど、な…
図書館で何となく気になったので借りてみた。 ソクラテスの死にプラトンは立ち会っていないにも拘らず、その情景を「パイドン」で表している。 この本はその、一見不可解なプラトンの対話篇についての考察から始まる。 自身では何も著作を残さなかったソクラ…
PQとはPlanning Questのことらしい。 ちょっと立て続けに、ビジネス書を読んでみた。 いわゆる、PMBOK流のプロジェクト・マネジメントの紹介本ではない。 むしろ、仕事をプロジェクトと捉えて、それを如何に段取り良く進めるかという、ハウツー本とい…
たまにはビジネス書も読んでみる。 だがこの退屈さは何だろう。 書いてある内容が好きだとか嫌いだとかではない。 文体だとか書きっぷりだとか言うことでもない。 人間の意思決定にまつわるあれこれを、経営やビジネスの観点で取り上げている。 だから、仕事…
ヴォネガットを夢中になって読んだのは、大学生の頃だったろうか。 久しぶりに読み返してみると、なるほどやはり面白い。 この本は1973年に書かれた。 あらすじを書いても何の意味もないだろう。 キルゴア・トラウトとドウェイン・フーヴァーと作者が主人公…
流石に朝日文庫版全45巻を一気読みする訳にはいかない。 だが、これであれば、読みたいときにスッと読める。 やはり、サザエさん的なるものは確かに存在する。 もし存在しないのであれば、日曜の夕方のTV版がそんなに続くはずが無い。 原作とTVとは、殆ど異…
三島由紀夫を読んだ時に感じるこの距離感は、どこからやってくるのか。 それは、古典足り得るほどに時間が経過していないにも拘らず、同時代的であると言うほどには近くも無いと言うことだけではなく、三島由紀夫が拠っていた何かが、今ここで読んでいる自分…
読んだのは、高校生だったろうか。 寺山修司による童話なのだけれど、全てがハッピーエンドではない。 むしろ、意地悪な苦味のある終わりが多い。 だが全般的に、これは少女趣味とでも言うべきものかもしれない。 少女趣味とは何であるかという定義を、これ…
レムの1980年代の作品。 地球に帰ってきた泰平ヨンが、訴訟に巻き込まれる。 その訴訟がうだうだしているうちに、以前、訪れたエンチア星に関する「泰平ヨンの航海日誌」の記述が間違いだらけで、訴えられることを知る。 そこで、エンチアの歴史に関する云々…
何年ぶりかに読み返してみた。 リアルタイムに読んでいたのは、中高生の頃だったろう。 芸能界をネタにしたストーリーが陳腐だとか、80年代的なスカしたコマ割りだとか、そんなことが何だというのか。 やがて、「SEX」で描かれることになる、ある種の特別な…
プラトンの対話篇の中でも、この本もまた苛立たしい。 ソクラテスがソフィストのゴルギアスを訪ね、弁論術とは何かと議論を吹っかける。 ゴルギアス自身が弁論術が説得のためのテクニックであると説明しているにもかかわらず、ソクラテスは「政治術の一部門…
そういえば、一時期は「資本論」も全巻持っていたっけ。 だが、読み通した覚えは無い。 この本も読んだのか読んでいないのか定かではない。 たぶん、柄谷行人の「マルクスその可能性の中心」辺りでも読んで、買ったのかもしれない。 ともあれ、読み返してみ…
気になっていたのだけれど、買わずにいた。 だが、ふらっと立ち寄ったブックオフで見つけ、買ってしまった。 この詩集は一日に一篇の詩が書かれている。 立ち読みした時は、自分の誕生日、家族の誕生日、友人の誕生日、それから… 買ってからは、とりあえず1…